ロマンチスト (曲)

「ロマンチスト」とザ・スターリン

「ロマンチスト」は、日本のロックバンドであるザ・スターリンが1982年7月1日にリリースした楽曲です。この曲は、徳間ジャパンのクライマックスレコードからの2枚目のシングルとして登場し、前作「電動こけし/肉」から約2年の時を経てのメジャーリリースとなりました。作詞は遠藤みちろうが手がけ、作曲と編曲はザ・スターリンが行っています。この曲のリリースと同時に、アルバム『STOP JAP』も発表されました。

楽曲の特徴

「ロマンチスト」の歌詞は、さまざまな「〜主義者」を風刺する内容で、音楽ライターの帆苅智之は、「視野狭窄や排他的思考に対する嫌悪感が反映されている」と分析しています。特にサビの「吐き気がするほどロマンチックだぜ」というフレーズは、多くの人々の心に残りました。この曲は、過激なステージパフォーマンスと相まってパンクのイメージを強く印象づけました。

帆苅はこの曲を「日本ロック史に刻まれた素晴らしい歌詞」と称賛し、当時のライブでは観客がボーカルの遠藤と共に熱唱する光景が見られたそうです。ザ・スターリンの音楽は単なる音楽に留まらず、文学や演劇とも異なる新たなジャンルを形成していたと彼は述べています。

リリース情報とカバー

このシングルは1982年8月25日に7インチレコードとして発売され、1998年にはデジパック仕様の12センチCDとしてもリリースされました。これには初回プレス特典としてコレクターズナンバーが付属されていました。また、このシングルのB面にはアメリカのロックバンド、ドアーズの「ハートに火をつけて」のカバーが収録されており、遠藤によって和訳された歌詞で歌われています。

インディーズ時代には「主義者（イスト）」というタイトルで演奏され、アルバム『trash』に収録されています。ここでは歌詞が一部異なり、「吐き気がするほどロマンチックだぜ」の部分が「吐き気がするほどストイックだぜ」に変わっています。また、映像作家の石井聰亙が制作したミュージックビデオもあり、当時としては珍しい試みでした。

この曲は多くのアーティストにカバーされており、大槻ケンヂやニューロティカ、ロリータ18号などがその名を刻んでいます。特に2010年にはトリビュート・アルバム『ロマンチスト〜THE STALIN・遠藤ミチロウTribute Album〜』がリリースされ、多くのファンに支持されました。

参加ミュージシャン

「ロマンチスト」に参加したメンバーは、ボーカルの遠藤ミチロウ、ギターのタム、ベースの杉山シンタロウ、ドラムスのイヌイ・ジュンです。彼らのユニークな演奏は、ザ・スターリンの個性を強く印象付けています。

まとめ

「ロマンチスト」は、ザ・スターリンのメジャー・デビューシングルとして多くの影響を与えた楽曲です。その過激な歌詞やパフォーマンスは、当時のパンクシーンを象徴するものであり、今なお多くの人々に愛されています。音楽の枠を超えた表現力を持つこの曲は、日本ロックの歴史の中でも特別な位置を築いています。

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