ロムヌィの戦い

2022年、ロシアによるウクライナ侵攻の際、ウクライナ北東部攻勢の一環として、スームィ州ロムヌィ一帯で激しい戦闘が繰り広げられました。この戦いは、2月24日に始まり、4月4日のロシア軍撤退まで続きました。ロムヌィは、スームィ州の南東に位置する人口約3万8千人の町で、キーウ（ウクライナの首都）へ続く主要道路が通る戦略上重要な地点でした。

戦闘の背景

ロムヌィは、スームィ、ブロヴァルィー、ネドリハイリフ、キーウを結ぶハイウェイH07の経路上にあり、キーウ攻勢とウクライナ北東部攻勢を結びつける要衝でした。このため、ロシア軍はロムヌィを制圧し、キーウへの侵攻ルートを確保しようとしました。

戦闘の経過

2月24日 - 28日

2月24日の夕方、ロシア軍の2つの車列が、ネドリハイリフとコノトプからロムヌィ方向へ進軍を開始しました。2月26日から27日にかけては、クラスノピリアからスームィを迂回し、さらに多くのロシア軍車両がロムヌィへ向かいました。この間、ロムヌィ地区長によると、負傷者や死者は確認されませんでした。しかし、2番目の車列は、ロムヌィに到達する前にウクライナ軍の攻撃を受けました。2月28日には、ロシア軍がロムヌィ矯正施設を攻撃。同日、ポゴージャ・クリニツィア村では、地元住民が自らの車でロシア軍の進軍を妨害しようとしましたが、戦車に押しつぶされ命を落としました。

3月1日 - 7日

3月1日、ロシア軍はロムヌィのすぐ南にあるビロヴォズケとボブリク村を占領しました。3月4日には、ロシアとウクライナの交渉の結果、ロムヌィはスームィ、ハルキウ、チェルニーヒウ各州から避難する民間人のための人道回廊に指定されました。同日、スパルタク村の住民が、ネドリハイリフからロムヌィを通過するロシア軍車両を阻止しようとしましたが、その後の攻撃で民間人1人が死亡しました。3月4日夕方、ロシア軍はリポヴァ・ドリーナからロムヌィ、そしてロムヌィ地区南部のビロヴォズケへの道路を封鎖しました。一方、ネドリハイリフとロムヌィ間のハイウェイはウクライナ軍の支配下に残りました。3月4日から5日にかけての一晩で、ロシア兵が養鶏場を破壊し、約10万羽の家禽を殺害する損害を与えました。

3月5日

3月5日、ロムヌィ地区長によると、ロシア軍に捕らえられた4人の人質のうち3人が解放されました。同日、道路にいたロシア兵がガソリンスタンドにいたウクライナ領土防衛隊の部隊に発砲し、ウクライナ兵1人が死亡、2人が負傷しました。また、同日夕方には、プストヴィティフカ村でスームィからロムヌィに向かう2台の車がロシア兵に銃撃され、民間人1人が負傷、3人が軽傷を負いました。夜遅く、スクリパリ村では、ウクライナ軍がロシアの車列を破壊し、多数の兵士を殺害しました。3月5日から6日にかけて、プストヴィティフカとロムヌィで銃撃戦が発生しましたが、負傷者は出ませんでした。しかし、ロムヌィでの銃撃により町の一部が停電しました。

3月8日 - 19日

3月11日、ロムヌィとロフヴィツィア間の道路封鎖が解除され、民間人の南への避難が可能になったと発表されました。同日朝、ロムヌィ近郊で警察とウクライナ領土防衛隊が野原で29人のロシア兵を拘束しましたが、彼らは全員が行方不明になったと主張しました。3月12日には、スームィ州に緑の回廊が設置され、スームィ、トロスティアネッツ、コノトプなどの民間人がポルタヴァ州へと避難しました。この人道回廊は3月18日に再開されました。3月19日、ウクライナ軍参謀本部は、ロシアの第1親衛戦車軍がスームィ周辺に集中し始めている一方、トロスティアネッツ、プリルキー、ロムヌィでの攻勢は成功しなかったと報告しました。

ロシア軍の撤退

ウクライナ北東部攻勢でのウクライナ軍の勝利後、4月1日、ロシア軍はキーウ州とチェルニーヒウ州からロムヌィを通ってロシア国境へ向かう回廊を使って、ロムヌィ地区から撤退を開始し、4月4日に完了しました。

ロムヌィの戦いは、戦略的要衝を巡る激しい攻防と、民間人の犠牲を伴う悲劇的な戦いでした。しかし、ウクライナ軍の勇敢な抵抗により、ロシア軍は撤退を余儀なくされ、ウクライナの主権が守られました。

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