ロヤ・ジルガ

ロヤ・ジルガ（Loya Jirga）は、パシュトー語で「大会議」を意味し、アフガニスタンにおいて、何世紀にもわたって重要な役割を果たしてきた伝統的な合議制の機関です。その起源は、アフガニスタンに憲法や議会制度が成立する以前に遡り、国の政治的、社会的な意思決定において中心的な役割を担ってきました。

歴史的に、ロヤ・ジルガは、新国王の選出、憲法の採択、その他の重要な政治問題の解決のために召集されてきました。伝統的に、部族長や長老が参加し、地方の代表者（シューラー）が首都カーブルに派遣されました。この制度は、アフガニスタンの社会構造と深く結びついており、部族社会における合議の伝統を反映しています。

近代憲法が導入された後も、ロヤ・ジルガは国家運営上の最高機関としての地位を維持しています。特に、国家の主権、安全保障、憲法改正、反乱の鎮圧、大規模な自然災害への対処といった、国家の最重要事項に関する最終的な意思決定機関として、その重要性は揺るぎません。

女性の参加については、1964年と1977年にロヤ・ジルガに参加した記録があり、1977年には、女性が代議員の15％を占めるまでになりました。これは、ロヤ・ジルガが社会の変化に応じて進化してきた証拠と言えるでしょう。

2004年に施行された現行アフガニスタン憲法では、ロヤ・ジルガは二院制の国民議会（国会に相当）よりも上位の機関として位置づけられています。この憲法により、ロヤ・ジルガは必要に応じて召集される非常設機関とされ、その構成員は国民議会議員の他、地方代表として州議会議長、郡議会議長が含まれることが定められています。さらに、閣僚や最高裁判所長官、最高裁判所の裁判官もロヤ・ジルガに参加し、発言する権利を持ちますが、投票権は与えられていません。

このように、ロヤ・ジルガはアフガニスタンの政治システムにおいて独特な位置を占めており、その伝統と権威は、現代の政治においても重要な意味を持ち続けています。アフガニスタンの歴史と文化を理解する上で、ロヤ・ジルガの役割を把握することは不可欠です。

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