ロルシュ

ドイツの古都ロルシュ：修道院と伝説が息づく街

ロルシュは、ドイツ連邦共和国ヘッセン州ベルクシュトラーセ郡に属する都市です。かつて「ベルクシュトラーセの門」とも呼ばれたこの地は、北にダルムシュタット、南にマンハイムを望むオーバーライン地溝帯に位置し、ヴェシュニッツ川の豊かな自然に囲まれています。特に有名なのは、ユネスコ世界遺産に登録されているロルシュ修道院です。

ロルシュの歴史：修道院を中心に発展

ロルシュ修道院は、764年にフランケンのガウ伯カンコールとその母ヴィリスヴィンダによって創設されました。メス近郊のゴルツェ修道院からベネディクト会修道士が移り住み、修道院は発展。885年には「Lauressam」として初めて記録に登場し、現在のロルシュという名に変化していきました。中世初期には帝国修道院となり、オーデンヴァルト、ベルクシュトラーセ、ラインヘッセン、さらにはアルザスやロートリンゲンにまで所領を広げました。

しかし、叙任権闘争の内戦で多くの所領を失い、12世紀後期には古い所領台帳の資料を再編成する試み（ロルシュ文書）も行われましたが、1232年にはマインツ大司教領となり、プレモントレ会の修道士が新たに定住しました。その後、マインツ選帝侯とプファルツ選帝侯の間で代官権の所有を巡る深刻な対立が生じました。

カロリング朝時代のベネディクト会修道院の一部は発掘されており、800年頃に建てられた楼門（「王の門」）が保存されています。この建物は、ロルシュの象徴として、ユネスコの世界遺産に登録されています。

ロルシュの伝説：グリム兄弟も記録

ヤーコプ・グリムは、ロルシュの馬牧場にまつわる石棺と幽霊の伝説を記録しています。グリム兄弟の『ドイツ伝説集』には、「ロルシュ牧場の馬飼いの家」という話が収録されています。1753年、ロルシュ牧場の馬飼いが、家の側で二つの骸骨が入った石棺を発見したと役所に届け出ました。馬飼いの父親は、35年前に家の中で明かりがついているのを目撃し、祭壇の前に立つ司祭のような男が立っているのを見たといいます。その男の目が窓のガラスのようだったため、驚いて逃げ出したそうです。翌朝、家に戻ると小さな匙が見つかり、息子がそれを役人に見せたという話です。

ロルシュの現在：文化と自然が調和する街

ロルシュ市議会は37議席で構成され、7人の市議会議員からなる参事会が設けられています。市長は、2011年からクリスティアン・シェーヌング (CDU) が務めています。

市の紋章には、世界遺産に登録された王の門が描かれています。赤い先端が尖った十字は、かつてのロルシュ修道院の紋章であり、獅子は都市が属するヘッセンの紋章です。

ロルシュは、フランスのル・コトー、ベルギーの Zwevegem、ドイツのルーラ市タール区と姉妹都市提携を結んでいます。また、チェコのŠternberkとは親交協定を結んでおり、戦後にこの地方から放逐されたドイツ人がロルシュに定住したことがきっかけとなっています。

ロルシュには、音楽劇場レックスや芸術小劇場ザッパーロートといった劇場があります。また、修道院の歴史、民間芸術、タバコ博物館などの部門を持つロルシュ博物館センターもあります。

ロルシュ修道院の王の門やベネディクト会のハーブ園、ロルシュ市庁舎、シュティフト通り19番のロルシュで最も古い木組み建築、ロルシュで最も古いレストラン「ヴァイセ・クロイツ」（白十字亭）、ヴァッテンハイマー橋など、見所も豊富です。

名物料理としては、ロルシャー・ヴェルシュブロート（ロマンス語地方のパン・ロルシュ風）があります。ロマンス語地方の小麦粉またはトウモロコシ粉、バターまたはラードと砂糖、大量のアニスとレーズンから作られています。

ロルシュへのアクセス：

ロルシュ市内には、連邦アウトバーンA67号線、連邦道B47号線およびB460号線が通っています。ドイツ鉄道のロルシュ駅は、ベンスハイムからヴォルムスへのニーベルンゲン鉄道沿いに位置しており、ラムペルトハイム/ビュールシュタット、ヘッペンハイム、アインハウゼン、ベンスハイム行きのバスも発着しています。ロルシュは、ヘッセン・サイクリングロードR9号線に面しており、ヴォルムスからベンスハイムを経由してヘーヒスト・イム・オーデンヴァルトまで行くことができます。

ロルシュにはTrekStor GmbH & Co.KGという企業があり、USBスティック、外付けハードディスク、MP3プレーヤーなどを製造しています。

ロルシュでは、ベルクシュトラーセ・アンツァイガーのロルシュ/アインハウゼン版と、シュタルケンブルガー・エコーという2種類の地方日刊紙が刊行されています。

ロルシュにはベルクシュトラーセ＝オーデンヴァルト地質自然公園、大型遊園地「イム・ビルケンガルテン」、カトリックの公共図書館、森のスイミング・プールなどの公共施設があります。告悔の火曜日には大規模な謝肉祭パレードが行われ、多くの人々が訪れます。

ロルシュには、ヴィンガーツベルクシューレ（基礎課程学校）とヴェルナー・フォン・ジーメンス・シューレ（本課程・実科学校）があります。

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