ロレンツォ2世・デ・メディチ

ロレンツォ・ディ・ピエロ・デ・メディチ（1492年9月12日 - 1519年5月4日）は、イタリアのルネサンス期にフィレンツェで権勢を誇ったメディチ家の一員であり、政治家として重要な役割を担いました。彼は、フィレンツェの僭主として、またウルビーノ公として、短いながらも激動の時代を生き抜きました。特筆すべきは、ニッコロ・マキャヴェッリの政治哲学書『君主論』が彼に献上されたことで、その重要性が今日にも伝えられています。

ロレンツォは、ピエロ・ディ・ロレンツォ・デ・メディチとアルフォンシーナ・オルシーニの間に生まれました。父方の祖父母は、メディチ家の隆盛を築いたロレンツォ・デ・メディチとクラリーチェ・オルシーニであり、名門の血を受け継いでいました。彼は、その家柄と政治的な才能を活かし、若くして権力の座へと上り詰めます。

1516年、ロレンツォは叔父にあたる教皇レオ10世によってウルビーノ公に叙任されました。これにより、それまでウルビーノ公であったフランチェスコ・マリーア1世から公位を奪取することになります。この権力闘争は、ウルビーノ戦争として知られています。ロレンツォは1万人の兵を率いる司令官として戦いに臨みましたが、一時的な負傷によりトスカーナへ退却を余儀なくされました。しかし、同年9月にはウルビーノ公領を再獲得し、その支配を確固たるものとしました。

ロレンツォの私生活においては、1518年6月にオーヴェルニュ伯女マドレーヌと結婚しました。翌1519年4月には長女カテリーナが誕生しましたが、そのわずか21日後、ロレンツォは梅毒により急逝しました。彼の死により、ウルビーノ公の地位は再びフランチェスコ・マリーア1世の手に戻ることとなりました。ロレンツォの娘カテリーナは、後に遠縁にあたるローマ教皇クレメンス7世の政略によって、フランス王アンリ2世の妃となりました。フランスではカトリーヌ・ド・メディシスとして知られ、フランス史において重要な役割を果たしました。

ロレンツォ・ディ・ピエロ・デ・メディチの短い生涯は、政治的な陰謀、権力闘争、そして愛と悲劇が複雑に絡み合った、まさにルネサンス期を象徴するものでした。彼の名声は、その政治手腕だけでなく、マキャヴェッリの『君主論』という歴史的な著作を通じて、今日にまで語り継がれています。

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