ロングバケーション (テレビドラマ)

『ロングバケーション』：時代を彩った伝説のドラマ

1996年4月から6月にかけてフジテレビ系「月9」枠で放送された『ロングバケーション』は、木村拓哉と山口智子のダブル主演で、社会現象を巻き起こした伝説のドラマです。略称は「ロンバケ」。その影響力は、「月曜日はOLが街から消える」と言われるほどで、多くの男性がピアノを習い始めるきっかけにもなりました。

社会現象を巻き起こしたドラマ

本作は、木村拓哉がSMAPとして人気絶頂期、山口智子が数々のヒット作で人気女優としての地位を確立していた時期に放送され、その豪華な共演は放送前から大きな話題となりました。初回視聴率30.6%を記録し、最終回では36.7%と最高視聴率を叩き出すなど、全話を通して高い視聴率を維持しました。竹野内豊、松たか子、稲森いずみ、広末涼子など、後のドラマや映画で主演を飾る俳優たちが多数出演している点も大きな魅力です。

脚本は、北川悦吏子が全話担当し、『あすなろ白書』『愛していると言ってくれ』に続く本作のヒットで、人気脚本家としての地位を不動のものとしました。また、総集編に新撮部分を加えた『ロングバケーションスペシャル』も放送され、高視聴率を記録するなど、その人気ぶりは社会現象と言えるほどでした。

初回と最終回は30分拡大枠で放送されましたが、再放送時にはそれぞれ前編と後編に分割され、全13回として放送されました。初回放送後には、木村拓哉も出演する『SMAP×SMAP』が放送されるなど、当時のフジテレビの勢いを象徴する編成でした。

あらすじ

物語は、結婚式当日に婚約者に逃げられたモデルの葉山南と、彼女のルームメイトだった冴えないピアニストの瀬名秀俊が、ひょんなことから同居生活を始めることから展開します。

第1話

落ち目のモデルである葉山南は、結婚式当日に婚約者に逃げられ、仕方なくルームメイトであった瀬名秀俊と同居することになります。南のペースに生活を乱される瀬名でしたが、南の誕生日を知り、ピアノでハッピーバースデーを演奏し、二人は和解します。

第2話

自分の才能に自信を持てない瀬名と、婚約破棄で落ち込む南。瀬名は、人生がうまくいかない時は「神様がくれた休暇」だと南を励まし、二人はトラブルだらけの同居生活の中で、次第にかけがえのない存在になっていきます。

第3話

瀬名はコンクールへの参加を勧められますが、今はその時ではないと断ります。一方、モデル事務所をクビになった南は、弟が開店したクラブで、瀬名と涼子との仲を深めようとしますが、涼子と弟が意気投合してしまいます。

第4話

瀬名は涼子への気持ちを自覚し、告白を決意。南は瀬名の告白の予行演習に付き合いますが、どこか寂しさを感じてしまいます。

第5話

瀬名は涼子とデートしますが、なかなか気持ちが通じ合わず、南は最近知り合ったカメラマンに誘われます。深夜、涼子から電話を受けた瀬名は、南の予感を振り切り涼子に会いに行きます。

第6話

瀬名は涼子から好きな人がいることを告げられ落ち込みますが、南に励まされます。南は杉崎からカメラアシスタントに誘われ、働き始めます。涼子の好きな相手が南の弟だと知った瀬名は、涼子のために告白の場を作り、南とキスをしてしまいます。

第7話

瀬名と南は昨夜のキスを意識し始めますが、南は杉崎から預かったフィルムを失くしてしまいます。南は杉崎に告白されます。

第8話

瀬名はコンクールへの参加を決意し、南は杉崎との距離を縮めます。二人はルームシェアの解消を意識し始め、別れを告げます。

第9話

コンクールを前に自信を失った瀬名に、南は電子ピアノで演奏し、彼の情熱を取り戻させます。

第10話

瀬名の演奏を聴いた南は、彼との日々を思い出します。瀬名はコンクールで優勝したらボストンに行くと告げ、南は杉崎からプロポーズされたことを告げます。瀬名と南はお互いの気持ちを確かめ合い、キスをします。

第11話

瀬名への愛を自覚した南は杉崎に別れを告げます。瀬名は南に「長い休みはもう終わり」と告げ、本選のチケットを渡します。コンクール当日、瀬名は南を思いながら渾身の演奏をし、南は感動します。瀬名は優勝し、南をボストンに誘い、二人はキスをします。

キャスト

木村拓哉が、内向的なピアニスト瀬名秀俊を演じ、その繊細な演技は多くの視聴者を魅了しました。山口智子は、明るくサバサバした性格のモデル葉山南を演じ、その自然体な演技は共感を呼びました。竹野内豊は、南の弟でプレイボーイの葉山真二を演じ、松たか子は、瀬名の後輩で清楚なピアニスト奥沢涼子を演じました。稲森いずみは、南の同僚でマイペースなモデル小石川桃子を演じ、それぞれが物語に深みを与えています。

音楽

久保田利伸with NAOMI CAMPBELLが歌う主題歌「LA・LA・LA LOVE SONG」は、ミリオンセラーを記録し、ドラマを象徴する曲として広く知られています。また、劇中で瀬名が演奏するピアノ曲や、様々なクラシック音楽もドラマを彩る重要な要素となっています。

その他

ドラマのロケ地となった「セナマン」は、放映中・放映後には多くのファンが訪れましたが、撮影後に取り壊され、現在はマンションが建っています。また、物語の展開は、当初の予定から視聴者の要望によって変更されたというエピソードも残っています。

最終回放送当日には、木村と山口がロンドンから中継出演するなど、その人気ぶりは社会現象となりました。また、2018年のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』では、本作を彷彿とさせるシーンが描かれ、再び話題となりました。

現在では続編の予定はないと発表されていますが、その人気は衰えることなく、多くの人々に愛され続けています。

受賞歴

第9回ザテレビジョンドラマアカデミー賞では、最優秀作品賞をはじめ、主演男優賞（木村拓哉）、主演女優賞（山口智子）、助演男優賞（竹野内豊）、助演女優賞（稲森いずみ）、新人俳優賞（松たか子）など数々の賞を受賞しています。