ロングプリー事件:在日米軍基地内で起きた悲劇
1958年9月7日、
埼玉県入間郡武蔵町(現在の
入間市)で、痛ましい事件が発生しました。西武池袋線の下り電車が武蔵藤沢駅から稲荷山公園駅へ向かう途中、
在日米軍ジョンソン基地(現在の
航空自衛隊入間基地)内を通過する区間で、米兵がカービン銃を発砲しました。この銃撃により、乗車していた
武蔵野音楽大学の学生が銃弾に倒れ、命を落としました。この事件は、前年に発生した
ジラード事件との類似性から「第2の
ジラード事件」とも呼ばれ、社会に大きな衝撃を与えました。
事件の経緯
事件が起きた当時、ジョンソン基地内には西武池袋線の線路が敷かれており、列車は基地内を通過していました。この特異な状況下で、米兵がなぜ発砲したのか、詳しい動機は明らかになっていませんが、無差別に発砲したという証言があります。
事件発生後、日米間で裁判権がどちらにあるかが問題となりました。当初は米軍側が裁判権を主張しましたが、最終的に事件が公務外の行為とみなされたため、日本の裁判所で裁かれることになりました。
裁判と判決
1959年
5月、浦和地方裁判所は加害者の米兵に対し、禁錮10か月の判決を言い渡しました。しかし、米兵側はこの判決を不服とし
控訴しました。同年9月25日、東京高等裁判所は米兵側の
控訴を棄却し、一審の判決が確定しました。この裁判は、
在日米軍の地位協定や、米軍関係者による事件の裁判権という、日米間の微妙な関係を浮き彫りにしました。
事件が残した教訓
ロングプリー事件は、
在日米軍基地が日本の社会に隣接していることで発生する問題点を改めて示しました。また、米軍関係者が起こした事件に対する裁判権の問題は、その後も度々議論されるテーマとなりました。
この事件は、無辜の大学生が理不尽に命を奪われた悲劇として、深く記憶されるべきでしょう。また、日米間の地位協定や、
在日米軍関係者の行動に対する責任を、今後どのように考えるべきかという問題を、私たちに突きつけています。
事件から数十年が経過しましたが、この悲劇を教訓として、平和で安全な社会を築いていくことが重要です。二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、私たちは歴史から学び続けなければなりません。
関連事項
ジラード事件: ロングプリー事件の前年に発生した、米兵が日本人を射殺した事件。在日米軍の地位協定や裁判権の問題を提起した。
在日米軍裁判権放棄密約事件: 在日米軍関係者が起こした事件の裁判権をめぐり、日米間で秘密裏に交わされたとされる密約問題。
この事件を語る上で、これらの関連事項も併せて理解することが大切です。