ロング・ライダーズ

『ロング・ライダーズ』(1980年)は、南北戦争後のアメリカ、ミズーリ州を舞台にした西部劇映画です。実在したジェシー・ジェイムズ率いる強盗団の物語を、迫力あるアクションと人間ドラマで描いた作品として知られています。

この映画の最大の特徴は、ジェイムズ兄弟、ヤンガー兄弟、ミラー兄弟、そして物語の終盤で重要な役割を果たすフォード兄弟といった、物語に登場する4組の兄弟を、すべて実際に兄弟である俳優たちが演じている点です。このキャスティングは、兄弟間の緊密な絆や複雑な人間関係をリアルに表現することに成功し、映画に深みを与えています。

ジェシー・ジェイムズとフランク・ジェイムズ兄弟を演じるのは、ジェームズ・キーチとステイシー・キーチ兄弟。ヤンガー兄弟はデヴィッド、キース、ロバート・キャラダインの3兄弟が演じ、ミラー兄弟はランディとデニス・クエイド兄弟がそれぞれ演じています。そして、ジェシー・ジェイムズの命を奪うフォード兄弟は、クリストファーとニコラス・ゲスト兄弟が演じました。

物語は、ジェシー・ジェイムズ率いる強盗団が、銀行や列車を襲撃して荒稼ぎをする様子から始まります。彼らは、時には恋人と時間を過ごし、傷を癒しながらも、再び大胆な強盗を繰り返します。ジェシーは南部人であり、養父を殺された過去を持つことから、銀行や鉄道会社といった組織を標的にすることで、人々からは「西部のロビン・フッド」とも称賛されていた一面も持ち合わせていました。

しかし、彼らの無法行為に業を煮やした鉄道会社や州知事は、名高いピンカートン探偵社に強盗団の掃討を依頼します。リクスビー率いるピンカートン探偵社の厳しい追跡が始まり、強盗団と探偵社の間で激しい攻防が繰り広げられます。この過程で、ヤンガー兄弟の従弟が射殺されるという悲劇が発生し、さらに、探偵社によるジェイムズ兄弟の実家襲撃では、幼い子供アーチーが誤って殺されてしまうなど、両者の対立はさらに激化していきます。

報復と追跡はエスカレートし、強盗団は逃亡を繰り返します。ミズーリ州には彼らの身内や支持者が多く、各地を転々として身を隠しますが、追及の手は容赦なく、やがて彼らは各州に分散して潜伏することになります。

資金が尽きた強盗団は再び集結し、ミネソタ州ノースフィールドの銀行襲撃を計画しますが、時代は彼らの思うようには動きません。襲撃は失敗に終わり、激しい銃撃戦の末、ヤンガー兄弟とミラー兄弟は重傷を負い、ジェイムズ兄弟と別れて投降します。

一方、ジェイムズ兄弟はミズーリ州に戻りますが、彼らのわずかなつながりを頼りに、ピンカートン探偵社はフォード兄弟と手を組みます。フォード兄弟は、ジェシー・ジェイムズを裏切り、彼を射殺します。

弟のジェシーを失ったフランクは自首し、ジェイムズ強盗団は壊滅します。映画は、無法の時代が終わりを告げ、新たな時代へと移り変わっていく様子を描きながら幕を閉じます。

『ロング・ライダーズ』は、実在の強盗団の物語を基に、兄弟俳優による個性的なキャスティング、迫力あるアクションシーン、そして時代と人間の葛藤を描いた、見応えのある西部劇映画です。

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