ジェシー・ジェイムズ

ジェシー・ウッドソン・ジェイムズ（1847年9月5日? - 1882年4月3日）は、アメリカ西部開拓時代を代表するガンマンであり、アウトローとしてその名を轟かせました。

生い立ちと南軍での経験

ジェシーは、ミズーリ州カーニーでバプテスト派牧師の子として生まれました。4歳年上の兄フランク・ジェイムズがおり、実家は奴隷を労働力とするタバコ農園を経営していました。南北戦争が勃発すると、兄フランクは南軍に参加し、16歳になったジェシーも1864年に兄と共に南軍のゲリラ部隊に加わりました。この時期に、彼は殺人や強盗などの犯罪行為を覚えることとなります。

強盗団「ジェイムズ＝ヤンガー・ギャング」の結成

終戦後、ジェシーは兄フランク、そして元戦友であるコール・ヤンガーとその兄弟たち（ジム・ヤンガー、ジョン・ヤンガー、ボブ・ヤンガー）と共に、強盗団「ジェイムズ＝ヤンガー・ギャング」を結成しました。彼らは銀行や列車を襲撃し、殺人を繰り返しました。1876年にはミネソタ州ノースフィールドで銀行を襲撃しましたが、ヤンガー兄弟は逮捕されてしまいます。一方、ジェイムズ兄弟は逃走に成功し、偽名を使って潜伏生活を送りました。その後、ほとぼりが冷めた頃にロバート・フォードとチャーリー・フォードの兄弟を仲間に加え、再び強盗を繰り返しました。

裏切りと死、そして兄のその後

1882年、ミズーリ州政府はジェシーに10,000ドルの賞金をかけました。その賞金を狙ったフォード兄弟によってジェシーは射殺されます。一方、兄フランクはジェシーの死から半年後に州知事の下へ自首し、その後は平穏な生活を送りました。この兄の穏やかな後半生が、ジェシーの悲劇的な最期をより際立たせる結果となりました。

「銀行強盗の日」の由来

1866年2月13日にジェシー・ジェイムズが世界初の銀行強盗に成功したことから、この日は「銀行強盗の日」となっています。

主な犯行

ジェイムズの犯行は、銀行強盗と列車強盗が中心でした。銀行強盗では、1866年10月にミズーリ州レキシントンの銀行から2,000ドルを奪い、1867年5月には同リッチモンドの銀行襲撃で4,000ドルを奪った上に8名を殺害しました。この中にはリッチモンドの町長も含まれています。1868年3月にはケンタッキー州ラッセルヴィルで14,000ドル、1871年6月にはアイオワ州で40,000ドルを強奪し、その大胆な手口は人々の耳目を集めました。

これらの事件に対して捜索隊が組織されましたが、銀行の金利に苦しむ農民たちがジェイムズを匿ったため、なかなか逮捕には至りませんでした。しかし、北部寄りのミネソタ州では住民の支援が得られず、1876年9月のノースフィールドでの襲撃では、見張り役が住民の銃撃により死亡するという結果を招いてしまいます。さらに、逃走中にジェシーが銀行員の咽をナイフで掻き切るという残虐な行為が明るみに出たことで、ジェイムズ兄弟の名声は地に落ちました。

最初の列車強盗は1873年7月、アイオワ州でシカゴ・ロックアイランド太平洋鉄道の列車を襲撃した際のもので、レールを緩めて列車を脱線させ、2,000ドルを奪いました。本来の目的は金塊輸送でしたが、その列車は既に通過した後だったため、現金輸送車と乗客の金品を奪うことになりました。この脱線事故では機関士1名が死亡しています。

1874年1月にはミズーリ州ギャッヅヒル駅で列車を強制的に停めさせ、乗客と金庫から現金を強奪しました。この際、ジェイムズ兄弟は労働者や女性からは金品を奪わなかったため、「シルクハットの紳士から奪う」と新聞に書かれました。しかし、この一連の強盗事件はより強力な追っ手を招き、ピンカートン探偵事務所が捜査に加わると、仲間のジョン・ヤンガーが殺害され、ジェイムズ兄弟は追い詰められていくことになります。

伝説化されたジェシー・ジェイムズ

敬虔なキリスト教徒で甘いマスクの美男子というイメージを持つジェシーは、その極悪非道な犯罪者であるにも関わらず、悲劇的な最期から人々の同情を集めました。強者に立ち向かうロビン・フッドのような義賊として捉えられることもあり、伝説化が進みました。

ジェシー兄弟の伝説を語る上で欠かせないのが、1872年9月にカンザスシティで行われた秋祭りでの事件です。この日、ジェシー兄弟とボブ・ヤンガーは、収益金10,000ドルを奪って逃走しました。その後、「タイムズ」紙に犯行を認める投書が届き、その中で少女への治療費を支払う意思を示すと共に、「政治家よりは道徳的であり、金持ちから奪って貧乏人に分け与えている」と主張しました。この投書が本人のものかは不明ですが、この内容が公表されたことで、ジェシー兄弟の伝説化を後押ししました。

また、南軍の兵士やその未亡人に親切であったという逸話も残されています。ある農家で未亡人から食事をご馳走になった際、農場が借金で人手に渡ることを知ると、ジェシー兄弟は1,400ドルを贈り、借金取りから取り返したという物語も語り継がれています。

これらのエピソードの真偽は不明ですが、ジェシー・ジェイムズが収奪の対象を実業家らに限定したことは確かで、その義賊的な側面が1920年代になると注目を集め、ロバータス・ラヴの『ジェシー・ジェームスの盛衰』の出版を機に、ビリー・ザ・キッド同様にアウトローの象徴として英雄視されるようになりました。

ジェシー・ジェイムズに関連した作品

ジェシー・ジェイムズを題材とした映画やテレビドラマ、漫画、アニメ、音楽、ゲームは数多く存在します。

映画
『地獄への道』（1939年）
『無法の王者ジェシイ・ジェイムス』（1957年）
『ミネソタ大強盗団』（1972年）
『ロング・ライダーズ』（1980年）
『ワイルド・ガンズ』（1994年）
『アメリカン・アウトロー』（2001年）
『ジェシー・ジェームズの暗殺』（2007年）

TV映画
『荒野のアウトロー』（1985年）
『ヤングライダーズ』（1989年 - 1992年）

TVドラマ
『大草原の小さな家』（シーズン4）「人質になったメアリー」
『大草原の小さな家』（シーズン9/新・大草原の小さな家）
『トワイライト・ゾーン (1959年)』（シーズン3 20話 西部劇作法）

漫画
『GUN BLAZE WEST』（2001年）

アニメ
『ポケットモンスター』

音楽
『ヨルダン:ザ・カムバック』（1990年）

ゲーム
『コールオブファレス：ガンスリンガー』（2013年）


これらの作品を通して、ジェシー・ジェイムズは今もなお、アメリカ文化の中で生き続けています。

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