ロング・ラン

イーグルスの『ロング・ラン』は、1979年に発表されたアルバムです。前作『ホテル・カリフォルニア』の世界的な成功の後、バンドには大きなプレッシャーがのしかかりました。当初は2枚組として予定されていた本作は、制作の遅延により1枚に縮小され、リリースも1年延期されました。

プロデューサーは前作に続きビル・シムジクが担当。ティモシー・B・シュミットがベーシストとして初めてイーグルスのアルバムに参加し、彼の作品「言いだせなくて」はシングルカットされました。しかし、アルバム全体の雰囲気は、以前のイーグルスにあった爽快さとは異なり、重苦しさが漂っています。楽曲制作においても、全10曲中4曲が外部の作家との共作となりました。

アルバムからは、「ハートエイク・トゥナイト」「ロング・ラン」「言いだせなくて」がシングルとしてリリースされ、いずれもヒットを記録しました。特に「ハートエイク・トゥナイト」は、ハードなギターサウンドとキャッチーなメロディが特徴的で、ライブでも人気の高い曲です。

アルバムのラストを飾る「サッド・カフェ」は、1977年に亡くなったバンドのマネージャー、ジョン・バーリックに捧げられた曲です。しかし、その歌詞と物憂げな雰囲気から、バンドの終焉を暗示しているようにも解釈できます。

『ロング・ラン』は、ビルボードチャートで1位を獲得しただけでなく、日本のオリコンチャートでも週間1位に輝きました。これは、イーグルスにとって唯一のオリコン1位獲得作品です。

アルバムリリース後、バンドはワールドツアーを行い、その模様はライブアルバム『イーグルス・ライヴ』として1980年に発表されました。1979年には再来日も果たしています。しかし、次のスタジオアルバム『ロング・ロード・アウト・オブ・エデン』が発表されたのは、実に28年後の2007年でした。

『ロング・ラン』は、イーグルスの音楽性の変化とバンド内の緊張感が反映された作品と言えるでしょう。商業的には成功を収めましたが、その制作過程は決して平坦ではありませんでした。それゆえに、このアルバムは、イーグルスの歴史において重要な位置を占める作品として、今もなお多くのファンに愛されています。

収録曲
Side 1
ロング・ラン - The Long Run
言いだせなくて - I Can't Tell You Why
イン・ザ・シティ - In the City
ディスコ・ストラングラー - The Disco Strangler
ハリウッドよ永遠に - King of Hollywood
Side 2
ハートエイク・トゥナイト - Heartache Tonight
ゾーズ・シューズ - Those Shoes
ティーンエイジ・ジェイル - Teenage Jail
グリークスはフリークスお断り - The Greeks Don't Want No Freaks
サッド・カフェ - The Sad Café

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