ロンバウアー

ロンバウアー：プリークネスステークス制覇の軌跡と、その後の物語

2018年4月17日生まれのアメリカ合衆国産競走馬、ロンバウアー。その名は、2021年のアメリカクラシック三冠競走の一つ、プリークネスステークスの栄冠を手にしたことで、競馬ファンに広く知られるようになりました。本記事では、ロンバウアーの華々しい勝利と、その後の人生、そしてその血統背景までを詳細に紐解きます。

予想外のデビューとクラシックへの道

ロンバウアーはケンタッキー州の生産者、フレッドキン夫妻によって生産されました。夫妻は通常、生産馬をセリ市に出品していましたが、2020年はCOVID-19パンデミックの影響でセリ市が中止。そのため、ロンバウアーは夫妻の所有馬として競走馬登録されることとなりました。

マイケル・マッカーシー調教師の管理下で、2020年6月25日、デルマー競馬場の芝の未勝利戦でデビュー。見事に勝利を収めると、続くデルマージュヴェナイルターフステークスでは6着と敗れましたが、その後ダートに転向します。

サンタアニタパークで行われたアメリカンファラオステークス（G1）では、単勝オッズ12.70倍の穴馬ながら、スタートの出遅れや不利な展開を克服し、僅か3/4馬身差で2着に入線。高い潜在能力を秘めていることを示しました。続くブリーダーズカップ・ジュヴェナイル（G1）では5着に終わりましたが、2歳シーズンは大きな経験を積むこととなります。

ケンタッキーダービー回避とプリークネス制覇

3歳となった2021年、ロンバウアーはエルカミーノレアルダービー（L）を勝利で飾ると、クラシック路線に挑みます。マッカーシー調教師は、強豪ボブ・バファート厩舎との競合を避けるため、ブルーグラスステークス（G2）を選択。しかし、2歳王者エッセンシャルクオリティに敗れ3着に終わりました。

この時点でケンタッキーダービーへの出場権は十分に得ていましたが、フレッドキン夫妻はロンバウアーの脚質がケンタッキーダービーには向いていないと判断。大胆にもケンタッキーダービーを回避し、プリークネスステークスへの直行を決断します。

プリークネスステークスでは、1番人気メディーナスピリット、2番人気ミッドナイトブルボンを抑え、最終オッズ12.80倍という穴人気ながら、レース終盤で驚異的な末脚を繰り出し、ミッドナイトブルボンに3馬身半差をつけて優勝。鮮やかな勝利を収めました。

ベルモントステークス出走と引退

プリークネスステークス優勝後、ロンバウアーの去就はベルモントステークスへの出走か、芝路線への転向か、大きく注目されました。最終的にはベルモントステークスに挑みましたが、エッセンシャルクオリティに大差をつけられ3着に終わります。

その後、2022年1月には一度は現役引退と種牡馬入りが発表されましたが、諸事情により現役を継続。S.ジョセフ厩舎へ転厩し、調教を続けましたが、結局レースに出走することなく、2023年11月に正式に引退を発表しました。現在はケンタッキー州で種牡馬として、新たな才能を繋ぐ役割を担っています。

血統背景

ロンバウアーの父はマリブステークスなどを制したトワリングキャンディ。母キャッシュメアは未出走でしたが、繁殖牝馬として優秀な遺伝子を受け継いでいました。さらにその母であるウルトラフリートは、4戦未勝利ながら、2008年のブリーダーズカップ・ターフスプリント優勝馬キャニオンフラッグなど、数々の活躍馬を輩出しています。ロンバウアーの血統には、勝利への血が脈々と受け継がれていると言えるでしょう。

ロンバウアーの物語は、一頭の競走馬の成功と挫折、そして新たな未来への希望を凝縮した、感動的なドラマです。彼の活躍は、多くの競馬ファンに深い感銘を与え続け、これからも語り継がれていくでしょう。

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