ロンバート型貸出制度

ロンバード・ローンとは

ロンバード・ローン（Lombard loan）は、担保付き融資の一種であり、特に中央銀行が金融機関に対して行う貸付制度を指します。この制度は、金融機関が中央銀行に担保を差し出すことで、短期間かつ迅速に資金を調達できる仕組みです。

導入の背景

従来の中央銀行による貸付は、審査に時間がかかり、無担保で行われることが一般的でした。しかし、偶発的な事象で複数の金融機関が同時に資金不足に陥った場合、銀行間の資金取引市場（コール市場）でも資金調達が困難になる可能性があります。このような状況下で、中央銀行が即座に資金を供給できなければ、金融危機につながる恐れがありました。そのため、世界的に担保付きの即時貸付制度が導入されるようになりました。

ロンバード・ローンは、ドイツの中央銀行で最初に導入され、その後、欧州中央銀行が1998年6月1日の創設時から採用しました。日本は2001年3月16日に「補完貸付制度」として、米国は2003年1月9日に「Primary and Secondary Lending Program」として導入しました。

日本における補完貸付制度

日本では、日本銀行が2001年3月16日から補完貸付制度を導入しています。この制度では、金融機関は原則として基準貸付利率で資金を調達でき、返済は翌日を原則としています。以前は、財務状況が悪化している銀行は資金調達金利が上昇するリスクがありましたが、この制度により、いつでも基準貸付利率で資金を調達できるようになりました。

また、年度末などの特別要因で金利が上昇しやすい局面でも、国内の適格担保があれば、日本銀行からロンバート型貸付を受けることができ、コール市場の安定化に貢献しています。

金利設定

2022年現在、日本における無担保コール翌日物金利は0.0%程度ですが、基準貸付利率は0.3%と、ロンバード・ローンの金利が0.3%程度高くなっています。一方、米国では、フェデラル・ファンド金利の誘導目標の上限が適用され、無担保のコール市場金利よりも0.2%程度高くなっています。

各国の制度詳細

日本：補完貸付制度

補完貸付制度は、貸出期間が1営業日であり、貸出金利は基準貸付利率（以前は公定歩合）が適用されます。ただし、5営業日を超える貸付など、いくつかの特例規則が存在します。詳細については、日本銀行のホームページを参照ください。

米国：Primary and Secondary Lending Program

Primary and Secondary Lending Programは、2003年1月9日から導入されています。2020年3月16日からは、primaryに該当する金融機関は最大90日間、secondaryに該当する金融機関は通常1日間の借り入れが可能です。金利設定は、primaryはフェデラル・ファンド金利の誘導目標の上限金利で、secondaryはprimaryの金利に0.5%が上乗せされます。primaryの金融機関は、資金用途の報告は不要です。

フェデラル・ファンド金利の誘導目標の上限に設定されているのは、フェデラル・ファンド金利が誘導目標を超えないように裁定取引を促す意図があります。FRBのホームページには、その使用用途の例が記載されています。

制度開始当初は、貸出期間は1日で、金利はフェデラル・ファンド金利に1%が上乗せされていましたが、その後、制度は何度も改訂されています。

ヨーロッパにおけるロンバート

ヨーロッパでは、質屋のことを「ロンバート」と呼びます。これはロンドンの金融街であるロンバード・ストリートの名称に由来しています。質屋に関する詳細は、関連の項目を参照してください。

参考資料

補完貸付制度基本要領: 日本銀行 Bank of Japan
基準割引率および基準貸付利率の推移: 日本銀行 Bank of Japan

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