ロンビックアンテナ

ロンビックアンテナとは

ロンビックアンテナは、菱形（rhombic）の形状を持つ水平型の進行波アンテナの一種です。主に中波や短波の周波数帯で使用され、遠距離通信に利用されています。

構造と特徴

ロンビックアンテナは、地面から数メートル以上離して、電線（エレメント）を菱形に配置した構造をしています。菱形の一辺の長さ（a）は、使用する最低周波数の波長（λ）の2倍以上とするのが一般的です。そのため、中波や短波で使用する場合は、一辺が数百メートルから1キロメートルにも及ぶ巨大なアンテナとなります。

菱形の狭い角の頂点に給電を行い、反対側の頂点に終端抵抗を接続することで、終端抵抗の方向に向かって非常に鋭い指向性を得ることができます。終端抵抗には、通常600Ωから800Ω程度の抵抗値が用いられます。放射効率を高めたり、インピーダンス特性を平坦化するために、電線を複数本並行に張ることもあります。終端抵抗を使用しない場合は、双方向性の指向性となります。

ロンビックアンテナは、非同調アンテナであるため、特定の共振周波数を持たず、広い周波数帯域で使用できるという特徴があります。これにより、電波の伝播状態に合わせて周波数を変更する必要がある遠距離国際通信やアマチュア無線に活用されています。

利点と欠点

ロンビックアンテナの主な利点は、非常に鋭い指向性と低い打ち上げ角を実現できることです。これにより、遠距離通信において優れた性能を発揮します。また、広い周波数帯域に対応できるため、周波数を柔軟に変更できる点も利点と言えます。

一方、欠点としては、設置に非常に広い敷地が必要になることが挙げられます。また、一度設置すると、指向性を変更することが難しいという制約もあります。

使用状況

原理的には、短波以上の周波数でも使用可能であり、良好な特性が期待できます。しかし、短波以上の周波数では、アンテナを回転させて目的の方向に指向性を向けたり、無指向性のアンテナを使用して各方向と通信する方式が主流です。また、他の種類の指向性アンテナでも容易に高性能を得られるため、ロンビックアンテナが使用されることはほとんどありません。

まとめ

ロンビックアンテナは、その独特な形状と特性から、遠距離通信において一定の役割を果たしてきました。しかし、設置場所の制約や他のアンテナ技術の発展により、近年では使用される機会が減少しています。

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