打ち上げ角

打ち上げ角とは、電波がアンテナから放射される際に、その放射が最も強くなる方向と地平面との角度のことです。

打ち上げ角と電波の放射

一般的に、垂直エレメントを持つアンテナ（例：ブラウン・アンテナ）からは、電波は水平方向（地平線方向）から斜め上空方向へと放射されます。打ち上げ角が低いほど、電波は水平方向に集中して放射されるため、アンテナからの見通し距離ではより強く到達します。

例えば、打ち上げ角を低くするために、アンテナのラジアルを水平よりもやや下方に向けて設置することがあります。これにより、電波はより地面に沿って進むようになり、近距離での通信効率が向上します。

逆に、打ち上げ角が高いアンテナでは、電波は斜め上空へと放射される割合が大きくなり、見通し距離で地上に届く電波は少なくなります。しかし、長波や短波を用いた場合、電離層での反射を利用することで長距離通信が可能になります。

アンテナの設置と打ち上げ角

アンテナを設置する際には、打ち上げ角を考慮することが重要です。電波の到達距離や通信相手との距離、使用する周波数帯によって最適な打ち上げ角は異なります。

例えば、近距離での通信を目的とする場合は、打ち上げ角を低く設定することが望ましいでしょう。これにより、電波はより地表に沿って進み、見通し距離内での通信品質が向上します。

一方、遠距離通信を目的とする場合は、電離層反射を利用するために打ち上げ角を高く設定することがあります。この場合、電波は一旦上空へ放射され、電離層で反射されて遠く離れた場所に届きます。

仰角との違い

衛星通信などで用いられる八木・宇田アンテナやパラボラアンテナなど、斜め上空への放射を強めるためにアンテナを傾けて設置することがあります。この際、アンテナの傾ける角度は「打ち上げ角」ではなく「仰角」と呼ばれることが多いです。

仰角は、アンテナが水平面からどれだけ上向きに傾いているかを示す角度です。一方、打ち上げ角は、電波の放射が最も強くなる方向と地平面との角度であり、アンテナの設置角度だけでなく、アンテナの構造や周囲の環境にも影響されます。

まとめ

打ち上げ角は、電波の放射方向を決定する重要な要素であり、アンテナの性能を最大限に引き出すためには、打ち上げ角を考慮した設計・設置が不可欠です。電波の利用目的や通信環境に応じて最適な打ち上げ角を設定することで、より効率的な通信が可能になります。

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