ローズの秘密の頁

映画『ローズの秘密の頁』の紹介

『ローズの秘密の頁』（英: The Secret Scripture）は、アイルランドで制作されたドラマ映画で、2016年に公開されました。監督はジム・シェリダン、主演にはヴァネッサ・レッドグレイヴとルーニー・マーラが名を連ねています。本作の原作はセバスチャン・バリーによる同名の小説で、2008年に発表されました。

この映画は、1940年代のアイルランドにある精神病院で40年以上も入院していたロザンヌ・マクナルティ（通称：ローズ）の物語を中心に展開します。彼女は赤ん坊の殺害容疑で告発されたものの、その罪をずっと否定し続けていました。ロズコモンの精神病院が閉鎖されることになり、グリーン医師が彼女の再鑑定に関わることになりますが、彼は果たしてローズを転院させるべきか悩むことに。彼女の苦悩を知ったグリーンは、ローズが長年にわたり聖書の余白に日記を記していた事実を知り、その内容を通じて彼女の過去を掘り下げていくことになります。

ストーリーは1930年代のローズの若き日の生活にさかのぼります。母親の鬱病に苦しむローズは、叔母のもとで新生活を送るためアイルランドに移住。その生活は幸福であったものの、戦争の影が彼女の日常を脅かしていました。そんな中、彼女は戦闘機パイロットのマイケルと恋に落ち、彼との関係は一層深まっていきます。しかし、周囲の人々から「マクナルティ一家はイギリス寄りだ」と警告されても、ローズはそれに耳を貸しません。マイケルに対する恋愛感情が増す一方で、神父のゴーントにも惹かれていき、彼女の内面は複雑なものとなります。

やがて、マイケルが飛行機事故に遭い、彼を助けた後に二人は結婚。しかし、新婚生活は長くは続かず、アイルランド共和軍やゴーントからの嫉妬心によって、彼女は精神病院に医療的に隔離されることとなります。この出来事が、彼女の人生を大きく変え、精神的な苦痛を増すことになるのです。ローズは再び自分の無実を証明するために戦うことを決意し、日記に記された思いをもとに、自らの過去と対峙していくこととなります。

キャストには、主役のローズ役を演じるヴァネッサ・レッドグレイヴや、若き日のローズを演じるルーニー・マーラ、医師役のエリック・バナなど、実力派が揃っています。特に、大人と若者のローズを演じる二人の演技はその深い感情を巧みに表現し、観客の心を打つものとなっています。

『ローズの秘密の頁』は、2016年9月に第41回トロント国際映画祭で初上映されました。しかし、映画自体は賛否が分かれ、批評家からは辛口な評価を受けました。Rotten Tomatoesでは批評家支持率31%、Metacriticでは加重平均値37と、厳しい評価が並んでいます。原作の小説は高く評価されていましたが、映画化に際してはその期待には応えきれなかったとの意見も多く、「ページに記されたままで良かった」との声も聞かれました。

本作を通じて描かれる人の心の苦悩や社会的な問題は、いまだに多くの人々にとって考えるべきテーマであり、その深いメッセージは鑑賞後にさまざまな感情を残します。映画を観終わった後、観客はローズの人生の重さを受け止め、彼女の真実に向き合うことを強いられるのです。

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