ローズガーデン (小説)

『ローズガーデン』は、桐野夏生が手がけた調査探偵・村野ミロシリーズの第4作として、読者をミロの独特な世界へと誘います。この作品集は、表題作である『ローズガーデン』を含む、以下の4つの短編小説で構成されています。

ローズガーデン
この書き下ろし作品では、ミロの夫である博夫の視点から物語が展開され、彼とミロの出会いから、二人がどのようにして夫婦になったのかが語られます。博夫の視点を通して、ミロの魅力や彼女の持つ複雑な内面が垣間見える、興味深い作品です。

漂う魂
『小説現代』1995年8月号に初掲載されたこの作品では、ミロが住むマンションで発生した幽霊騒ぎが描かれています。管理会社から依頼を受け、ミロは幽霊騒ぎの真相を究明するための調査に乗り出します。日常に潜む非日常的な出来事を、ミロがどのように解決していくのかが見どころです。

独りにしないで
『別冊小説現代』1994年7月号に初掲載。クラブの女性に入れ込んでいる男性から、彼女の気持ちを確認してほしいという依頼を受けます。ミロは困惑しながらも、依頼を引き受けて調査を進めます。

愛のトンネル
『小説現代』1993年10月号に『天使のような私の娘』というタイトルで掲載された作品を改題したもの。事故死した専門学校生の娘の遺品整理を依頼されたミロは、調査を進めるうちに、娘が地味で大人しいと思われていた人物とは全く異なる一面を持っていたことを知ります。娘は実はSMクラブで女王として働き、高額なクラブの経営権まで購入していたのです。ミロは、娘の二重生活の真相に迫っていきます。

これらの短編を通して、村野ミロというキャラクターの多面性と、彼女が関わる事件の奥深さを堪能できるのが『ローズガーデン』の魅力です。桐野夏生ならではの鋭い視点と、ミステリーとしての巧妙な構成が、読者を飽きさせない作品集となっています。

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