桐野夏生

桐野 夏生 (きりの なつお)

概要

桐野夏生は、日本の小説家であり、生年月日は1951年10月7日です。彼女は石川県金沢市で生まれ、ロマンス小説やミステリー小説において優れた業績を残しています。また、別名義での作品もあり、特に森園みるく名義でのレディースコミックの原作も手がけてきました。

幼少期と教育

彼女は父親が建設会社でエンジニアをしており、両親と共にリベラルな家庭で育ちました。幼少期に父の転勤が多く、金沢を離れ、仙台や札幌、武蔵野市へと引っ越しました。武蔵野市立第四中学校を卒業し、桐朋女子高校を経て成蹊大学法学部に進学しました。

キャリアの始まり

卒業後、経済的な不況の影響で就職先が見つからず、映画館でのアルバイトや広告代理店での編集業務に従事します。そして、結婚後も様々な仕事を経て30歳頃から小説執筆に目覚めました。1984年には、ロマンス小説『愛のゆくえ』を執筆し、サンリオロマンス賞に入選、その後小説家としての活動を続けます。

主な業績

1993年には、『顔に降りかかる雨』が第39回江戸川乱歩賞を受賞し、名実ともに作家として評価されるようになりました。独自のスタイルが際立つハードボイルドや女性探偵シリーズを展開し、特に新宿歌舞伎町を舞台にした「村野ミロ」シリーズが人気を博し、多くの読者を惹きつけました。

また、1997年の『OUT』では、普通の主婦が犯罪に巻き込まれていく様子が生々しく描かれ、この作品は日本国内だけでなく、海外でも高い評価を受け、アメリカのエドガー賞にもノミネートされました。

受賞歴

彼女は多くの文学賞を受賞しており、代表的なものには第51回日本推理作家協会賞（『OUT』）や第121回直木三十五賞（『柔らかな頬』）、さらに第64回毎日芸術賞等があります。2015年には紫綬褒章を受章し、2021年には日本ペンクラブ第18代会長に選出され、女性の会長として初の記録を樹立しました。

ペンネーム

桐野夏生はペンネームであり、司馬遼太郎の作品に登場する桐野利秋と、大庭みな子の作品から「夏生」を取って名付けました。この名前の使用に際しては、時折男性名前との混同を避けるため、桐野夏子や野原野枝実として活動することもあったといいます。

影響力

桐野自身、彼女が影響を受けた作家として林芙美子を挙げ、その自伝的小説『放浪記』を非常に大切に思っています。また、映画ではサム・ペキンパー作品が好きで、その作品に対する評価やリスペクトを公開の場でも表しています。

映像化

彼女の作品は多く映像化されており、『顔に降りかかる雨』『OUT』などがドラマや映画として制作されています。これにより、彼女の作品はさらに広範囲な層に届くこととなり、文学界での存在感を増しています。

総括

桐野夏生は、女性作家としての地位を確立し、ミステリーやロマンスにおいて革新をもたらした存在です。彼女の多様な作品群は、日本文学における重要な位置を占め続けています。

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