ローズ・クリケット・グラウンド

ローズ・クリケット・グラウンド：クリケットの聖地、その歴史と伝統

ローズ・クリケット・グラウンドは、イギリス・ロンドンにあるクリケット専用スタジアムであり、クリケット界におけるその重要性から「聖地」とも呼ばれています。創設者であるトーマス・ロードの名を冠し、メリルボーン・クリケット・クラブ（MCC）が所有しています。イングランドとウェールズのクリケット委員会、欧州クリケット評議会の本部もここに置かれ、かつては国際クリケット評議会の本部も置かれていました。

歴史と変遷

現在のローズ・クリケット・グラウンドは、トーマス・ロードが1787年から1814年にかけて建設した3つのグラウンドのうち、3代目にあたります。初代グラウンドはドルセット・スクエア付近に位置し、2代目はリージェンツ運河の建設により使用が中止されました。現在のグラウンドは1814年に完成し、初代、2代目グラウンドから北西に約230メートル離れた場所に位置しています。

1814年6月22日、メリルボーン・クリケット・クラブ対ハートフォードシャーの試合が現在の地で初めて行われ、以来、クリケットワールドカップ決勝戦を含む数々の歴史的試合が開催されてきました。特にクリケットワールドカップ決勝戦は、1975年、1979年、1983年、1999年、2019年と、5回もこの地で開催されています。

伝統の一戦

名門校であるイートン・カレッジとハロウスクールの定期戦は、1805年に初代グラウンドで始まり、1818年からローズ・クリケット・グラウンドで毎年開催されています。200年を超える歴史を持つこの伝統の一戦は、クリケット史においても重要な位置を占めています。また、オックスフォード大学とケンブリッジ大学の定期戦も、1838年から2000年までこの地で開催されていました。

王室との関わり

イギリス女王エリザベス2世は、王配フィリップと共に33回もこのグラウンドを訪れ、イングランド代表のテストマッチなどを観戦しました。この事実は、ローズ・クリケット・グラウンドが、単なる競技場ではなく、イギリス国民にとって重要な場所であることを示しています。

近代化への取り組み

現在、ローズ・クリケット・グラウンドでは、観客収容能力を1万人増やすための改修と新施設の増設、アイスリンクの設置を含む大規模な再開発計画が進められています。歴史と伝統を継承しながら、現代のニーズに対応した進化を続ける姿は、このスタジアムの未来への展望を示しています。2012年にはロンドン五輪のアーチェリー競技会場としても使用されました。

まとめ

ローズ・クリケット・グラウンドは、クリケットの歴史と伝統を体現する場所であり、数々の歴史的瞬間を目撃し、生み出してきた場所です。近代化への取り組みも進められていますが、その歴史的意義と伝統はこれからも大切に受け継がれていくことでしょう。クリケットファンにとってだけでなく、スポーツ史を学ぶ上でも重要な場所と言えるでしょう。

もう一度検索