ロードショー (映画用語)

ロードショーの歴史とその変遷

映画における「ロードショー」という言葉は、元々アメリカの演劇界で使われていた。新進劇団がブロードウェイで公演を行う際、リスクを避けるために地方を巡り評判を得た後、都市部での上演へと進む形が一般的であり、こうした先行上演が「ロードショー」として認識されるようになった。1930年代には、ディズニーの短編アニメ『ミッキーの浮かれ音楽団』にも「ロードショー」と記載された幕が登場する。

映画の世界でもこの用語は取り入れられたが、意味が大きく変わった。劇団の場合は地方巡演から移った指標が、映画では都市部での先行上映という形に変わり、そこから得た評価を元に全国的な上映が検討されるようになった。日本にもこのアメリカの影響が届き、1980年代の初めまで多くの洋画で「ロードショー」は東京や大阪などの大都市での先行上映を指すようになった。

ところが、1970年代後半には「大作映画」が全国の映画館で同時に公開される「全国一斉ロードショー」や「拡大ロードショー」のスタイルが一般化し、これにより従来のロードショー形式の映画は徐々に減少していった。1990年代半ばまでには、「ロードショー」は映画の封切りの日と同義となる。

ロードショーには、通常の公開の前に行われる特別な上映形式も存在する。封切日の前週や祝日に上映される作品は、「先行上映」や「先々行上映」として位置付けられ、最終回の後に深夜のみ行われることもあった。特に2001年に行われた『A.I.』の先行オールナイト上映は、これまでの流れを変え、夜7時からの円滑な上映が行われることとなった。

ロードショー形式の導入

1940年代のアメリカ映画界は、観客の入退場を禁止する厳格な上映スタイルを持っていた。日本でも1947年に有楽町スバル座がこのアメリカ式の「ロードショー形式」を取り入れ、『アメリカ交響曲』がその第一弾となった。この上映は全席指定で料金も割高だったため、開場一週間前には全席が完売するという人気を博した。

このように、ロードショーという概念は、映画の上映スタイルや成功のための戦略に深く関わってきた。今日では、「ロードショー」という言葉が多くの人に親しまれており、封切りと同じ意味で使われるようになったことで、映画の公開スタイルが変わったことを示している。ロードショーの変遷は、映画が多様化し、観客が求める体験が変わる中で、常に進化していることを示していると言えるだろう。

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