ローヌ川の星月夜

『ローヌ川の星月夜』、または単に『星月夜』として知られるこの作品は、フィンセント・ファン・ゴッホがアルル滞在中に、ローヌ川の夜景を描いた風景画です。制作は1888年9月、ゴッホが星月夜を描く前年に行われました。

ゴッホはまず、フォルム広場のカフェテラスから夜空の一部分を描き、その後、別の場所からローヌ川の眺めを描きました。このように、異なる場所から捉えた夜空と地上の風景を組み合わせることで、独自の視点を表現しています。そのため、ローヌ川東岸から見た実際の構図とは異なり、北斗七星が独特な形で描かれている点が特徴です。

絵画全体は、夜の闇を背景に、プルシアンブルー、ウルトラマリン、コバルトなどの濃い青色がキャンバスを覆い尽くします。対照的に、ローヌ川の対岸に灯るガス灯は、濃いオレンジ色に輝き、その光が水面に長く明るい影を落としています。星々は宝石のようにきらめき、寄り添い歩くカップルの姿が描かれることで、全体として穏やかで温かい雰囲気を醸し出しています。

ゴッホは、本作を制作する以前から「夜の表現」に強い関心を抱いていました。弟や友人への手紙の中で、星空を描きたいという願望を語っており、妹に宛てた手紙の中では「今、どうしても描きたいのは星空だ。夜は昼よりもずっと色彩豊かだ」と述べています。この言葉からも、ゴッホが夜空に特別な魅力を感じていたことが伺えます。

この作品は、ゴッホが自然の中で感じた美しさや感情を、色彩と光の表現を通して描き出した傑作と言えるでしょう。

関連情報

フィンセント・ファン・ゴッホ：本作の作者。
ローヌ川：本作の舞台となった川。
アルル：ゴッホが滞在し、本作を制作した南フランスの都市。
オルセー美術館：本作を所蔵する美術館。
* [オルセー美術館]]の作品ページ：[外部リンク

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