ローブ・モンタント

ローブ・モンタントとは

ローブ・モンタント（仏: robe montante）とは、女性用のドレスの一種であり、その特徴は高い立襟にあります。「モンタント」という言葉はフランス語で「上がる」や「高まる」という意味を持ち、深く大きくカットされたネックラインを持つローブ・デコルテとは異なり、肩や背中が露出することがありません。このため、特に皇室主催の公式行事において女性の昼の正礼装として多く用いられています。

歴史的背景

ローブ・モンタントの全盛期は19世紀後半から20世紀初頭にかけてであり、イブニングドレス以外のさまざまなドレススタイルに広く取り入れられました。この時期、日本においても婦人の礼式に相当する西洋服装が認められ、「通常礼服」としてこのローブ・モンタントが位置づけられるようになりました。明治政府は憲法の制定を目指し、近代的な国家の整備を進めており、女性の礼服もまた整備されていきます。

日本では、明治4年に平安装束を改良した袿袴が制定され、その後、女性の礼服は次第に洋装が主流となりました。明治19年には婦人にも礼式相当の西洋服装が公式に認められ、その中でローブ・モンタントが通常礼服とされました。このドレスは、長い丈で裾を引くようなデザインが特徴であり、格式の高いマント・ド・クールやローブ・デコルテは袖が短く、胸元が大きく開かれていますが、ローブ・モンタントは長袖で手首までのデザインです。

現代での使用

現代においては、ローブ・モンタントは女性皇族が宮中で行われる正式な行事や、陵墓、伊勢神宮、明治神宮への拝礼時に着用されることが一般的です。明治22年の勲章記章佩用心得では、男女の通常礼服に関するルールが定められ、男子は全ての勲章が佩用できる一方で、女子のローブ・モンタントは副章のみの装着が可能とされています。しかし、昭和39年の規程改正において、ローブ・モンタントも燕尾服やローブ・デコルテと同様に全ての勲章を着用できるようになりました。

2017年には、日本の皇族がタイのラーマ9世前国王の葬儀でローブ・モンタントを着用する姿が見られ、さらなる国際的な評価を受けています。

結論

ローブ・モンタントは、その格式と独特なデザインから、日本の礼服文化において重要な役割を果たしてきました。女性のための昼の正式な服装として、今後もその伝統が継承され続けることが期待されています。

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