ローマでアモーレ:愛と人生の交響曲
ウディ・アレン監督・主演による
2012年の映画『
ローマでアモーレ』は、
イタリア・
ローマを舞台に、複数のカップルや個性的な登場人物たちの織りなす物語を描いた群像劇です。全編
ローマで撮影された美しい映像と、アレン監督独特のユーモラスな演出が魅力的な作品となっています。
アメリカ人観光客とローマ人弁護士の恋
アメリカ人観光客のヘイリーは、
ローマ滞在中に
ローマ人弁護士のミケランジェロと恋に落ち、結婚を決意します。彼女の両親は、ミケランジェロの葬儀屋を営む家族と会うため
イタリアを訪れます。ヘイリーの父親であるジェリー(
ウディ・アレン)は、かつてのオペラ監督で、ミケランジェロの父ジャンカルロの隠れた歌の才能に気づきます。ジェリーはジャンカルロを説得し、オペラのオーディションを受けさせますが、失敗に終わってしまいます。この出来事がきっかけで、ミケランジェロとヘイリーの関係にも亀裂が入ります。しかし、ジェリーはジャンカルロの才能がシャワーを浴びている時だけ発揮されることに気づき、
ローマ歌劇場でシャワーを浴びながら歌うという奇抜な演出を考案します。この演出は大成功し、ジャンカルロは高い評価を得ますが、ジェリー自身は酷評されます。しかし、
イタリア語が読めないため、そのことに気づいていません。ジャンカルロは満足し、葬儀屋としての仕事と家族との時間を優先することを決意します。結果的に、ヘイリーとミケランジェロは仲直りします。
新婚夫婦と予期せぬ出来事
新婚のアントニオとミリーは、
ローマで生活を始めます。ミリーは美容室に行く途中で道に迷い、携帯電話も無くしてしまいます。そこで偶然、大ファンの俳優ルーカ・サルタと出会い、ランチに誘われます。一方、アントニオの部屋には、手違いでコールガールのアンナが訪れてしまいます。叔父叔母が訪れる直前という最悪のタイミングで、アントニオはアンナをミリーだと偽って紹介することになります。レストランで、ルーカ・サルタとミリーが再会する場面に遭遇したアントニオは激しい嫉妬心を抱きます。後日、叔父叔母に連れて行かれたパーティでは、アンナとアントニオは親密になり、様々な経験を共有します。ミリーはルーカ・サルタとホテルで過ごしますが、そこへ泥棒が現れ、さらにルーカの妻と
パパラッチまで現れるという騒動に巻き込まれます。ミリーは泥棒と意外な関係を築きます。最終的に、アントニオは故郷に帰ることを決意しますが、ミリーとの再会を経て、互いの愛を確かめ合うことになります。
平凡な男の有名人体験と建築家と若者の交流
平凡な中年男性レオポルドは、ある日突然「有名人」としてメディアに注目されるようになります。人気者として生活する喜びを味わいますが、プライバシーのない生活に苦しみ始めます。注目が別の男に移ると、元の平凡な生活に戻ったことを喜ぶものの、今度は注目されなくなったことに不安を感じ、再び注目を集めようとします。妻ソフィアは優しく彼を支えます。
アメリカ人建築家ジョンは、かつて住んでいたアパートの現在の居住者である若手建築家のジャックと出会い、恋のアドバイスなどをしながら彼を見守ります。ジャックは恋人のサリーと幸せな日々を過ごしていましたが、サリーの親友モニカの登場によって状況が変わります。モニカの奔放な魅力に惹かれたジャックは、サリーと別れてモニカと旅に出る計画を立てますが、モニカは映画の仕事が決まり、アメリカに帰ってしまうという展開になります。
様々な人間模様とローマの街並み
この映画は、様々な人間模様をユーモラスに描きながらも、
ローマの街並みや文化を背景に、人生の喜びや悲しみ、愛や別れといった普遍的なテーマを問いかける作品です。批評家の評価は賛否両論ありますが、アレン監督独特の視点と、
ローマという街の魅力が融合した、独特の世界観を持つ作品と言えるでしょう。
Rotten Tomatoesでは46%の高評価、
Metacriticでは平均点54点と、評価は分かれていますが、アレン作品ならではのユーモアと人間ドラマが凝縮された作品として、多くの観客に愛されている作品です。