ローマ・ゲットー

ローマ・ゲットーの歴史

ローマ・ゲットー（伊：Ghetto di Roma）は、イタリア・ローマに位置し、マルケッルス劇場やテヴェレ川の近くにあるユダヤ人の隔離居住区でした。この地域は、サンタンジェロのポルティコ・ディ・オッタヴィアや、ルンゴテヴェレ・デ・チェンチ、プログレッソ通り、サンタ・マリア・デル・ピアント通りなど、歴史的な名所に囲まれています。

歴史的背景

もともと、ローマ教皇はユダヤ人の経済的な力を利用する一方で、彼らを保護する立場を取っていました。しかし、1555年5月、教皇に選出されたパウルス4世は、ユダヤ教がキリスト教に危険を及ぼすと信じ、ユダヤ人の隔離を命じる勅書を発布しました。この命令により、ローマのユダヤ人は全員テヴェレ川の左岸に強制的に移住させられ、塀で囲まれたエリアに隔離されました。

このようにして、ローマ・ゲットーは誕生し、その後、教皇の指導のもと、多くの地域でユダヤ人が同様に隔離されるようになりました。後の教皇たちも、ユダヤ人をゲットーに収容する政策を支持し、他のヨーロッパの君主たちにも同様の措置を取るように圧力をかけていきました。

ゲットーの変遷

ナポレオン・ボナパルトが指揮するフランス軍の登場により、教皇領は滅亡し、ローマのユダヤ人たちは市民権を得て解放されました。しかし、1814年にはナポレオンが敗北し、教皇領が復活。これに伴い、ローマ・ゲットーも再び存在することになりました。

1859年、教皇領がイタリア王国の支配下に入ると、他のイタリア地域ではすでに認められていたユダヤ人の市民権がローマのユダヤ人にも付与されました。しかし、ローマ・ゲットー自体は1885年まで存続しており、この期間は西ヨーロッパのゲットーの中で最も遅い解放を意味しています。

このような歴史的経緯から、ローマ・ゲットーは、ユダヤ人の生活や迫害の象徴として今でも考えられています。ローマの街中に残るその痕跡は、過去の厳しい現実を思い起こさせる重要な文化遺産となっています。

参考文献

• - ポール・ジョンソン著、阿川尚之、山田恵子、池田潤訳『ユダヤ人の歴史 上巻』徳間書店、1999年。
• - ルイス・ワース著、今野敏彦訳『ゲットー：ユダヤ人と疎外社会』マルジュ社、1981年。

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