ローマ問題

ローマ問題

ローマ問題（Questione romana）は、1861年から1929年にかけて、イタリア王国とローマ教皇庁との間で生じた政治的対立を指します。この問題は、イタリア統一の過程において特に重要な意味を持っており、イタリアの政治と教会の関係を深く影響しました。

ローマ共和国の成立と崩壊

19世紀中頃、1849年にさかのぼります。この年、ジュゼッペ・ガリバルディが率いるローマ防衛軍は、ローマ大学近くの戦いでフランス軍に降伏し、ローマ共和国は短命に終わります。この出来事は、イタリア国民の間で教会と国家との関係についての議論をもたらしました。

イタリア国民議会の構成

1861年2月、イタリア国民議会がサルデーニャ王国のトリノで開かれました。同年3月、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世がイタリア国王として即位し、ローマが新たに国の首都となることが決議されました。これに伴い、イタリア王国は教皇ピウス9世に対し、ローマ市街やバチカンの占有、またその対価として年32万5千リラを支払うことを求めました。

アスプロモンテの戦い

1862年にはガリバルディによるアスプロモンテの戦いが発生し、教皇領がフランスに保証されていることへの不満を背景にイタリア政府との緊張が高まりました。しかし、イタリア政府は彼の行動を鎮圧し、教皇との対立がさらに深まりました。

第1バチカン公会議と普仏戦争

その後、1869年から1870年にかけて第1バチカン公会議が開催されますが、普仏戦争の勃発により、この会議は無期延期となります。1870年にフランス軍が撤退すると、イタリア王国は教皇領を占領し、これがローマ占領につながりました。

教皇とイタリア政府の対立

この占領を受けて、ジョヴァンニ・ランツァ首相は教皇保障法を制定し、教皇庁の地位を保障しようとしましたが、教皇ピウス9世は拒絶。これにより、イタリア王国と教皇庁の間で緊張が高まり、教皇は自らを「バチカンの囚人」と称しました。この不参加の呼びかけは、国政に対する不満を反映したものでした。

ローマ問題の解決

この長い対立の終息を迎えたのは、1929年のラテラノ条約の締結でした。この条約により、イタリア王国とローマ教皇庁との関係が改善され、バチカン市国が独立国として認められることとなります。その後、1962年には、第2バチカン公会議が開催され、長年にわたる対立の影響を受けた教会の役割が再評価される契機となりました。

結論

ローマ問題は、単なる政治的な対立ではなく、イタリアの国家形成や教会の役割に関する重要な議論を引き起こしました。そして、この問題がもたらした影響は、今日のイタリア社会にも色濃く残っています。

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