ローリング・サンダー (映画)

ローリング・サンダーの概要

『ローリング・サンダー』は1977年に公開されたアメリカのアクション映画であり、その魅力は単なるアクションにとどまらず、深い人間ドラマにあります。物語は、ベトナム戦争から帰還した軍人レーン少佐の心の葛藤と復讐劇を中心に展開されます。監督のジョン・フリンは、本作を通じてアクション映画の新たな方向性を示し、ポール・シュレイダーの脚本は戦争帰還兵の苦悩を鋭く描写しています。

ストーリーの展開

1973年、ベトナム戦争から家族の待つテキサス州に帰還したレーン少佐（演：ウィリアム・ディヴェイン）と彼の部下ジョニー伍長（演：トミー・リー・ジョーンズ）は、地元の人々から英雄として迎えられます。しかし、長い捕虜生活で受けた痛ましい経験の影響で、レーンは心に深い傷を抱えていました。彼の帰還は、周囲の歓声に包まれながらも、自身の心情とは乖離していることに気づくのです。

歓迎式典では、レーンに特別な贈り物が贈られ、町全体が彼の帰還を祝いますが、レーンの表情は虚しさで満ちています。このイベントに参加したリンダ（演：リンダ・ヘインズ）だけが、彼の内面の苦悩を察していました。その後、レーンの家庭は長い時間にわたる彼の出兵の影響で変わってしまい、妻ジャネット（演：リサ・リチャーズ）も新たな関係を築いてしまっていました。この家族の崩壊は、レーンにとって受け入れがたい現実でした。

一方、彼は息子のマークと接することに苦しみながらも、ぎこちない愛情を寄せる様子が描かれています。一方で、妻のジャネットと州警官クリフとの複雑な関係は、レーンの心にさらに傷を深めていくことになります。

事件の発端

その後、レーンの家に強盗が押し入ります。事件に関与したのは、歓迎式典のニュースを見たメキシコの強盗団で、彼らはレーンを襲撃します。しかし、レーンは捕虜経験のフラッシュバックから口を閉ざし続け、強盗たちによって片腕を失ってしまいます。強盗団はレーンの妻子を射殺し、彼は深い喪失感と復讐心に苛まれます。

病院での療養中、失った手に義手を装着したレーンは、怒りと共に復讐の準備を進めます。リハビリを重ね、義手を使いこなすようになると、彼は強盗たちを追うための行動を開始します。リンダはレーンとの関係を深めるものの、彼は復讐に心を奪われていくのです。

最後の戦い

メキシコへ向かう途中で、レーンはかつての仲間ジョニーと再会します。二人は強盗一味を討つために力を合わせ、危険な道を共に進むこととなります。彼らの道のりは決して平坦ではなく、リンダの存在が彼に新たな感情をもたらすものの、復讐への執着が優先されがちな状況です。

強盗たちの根城である売春宿で、二人は激しい銃撃戦を展開します。数々の困難をのり越え、互いに支え合いながら、彼らは最終的に復讐を果たすことに成功しますが、その代償は大きなものでした。物語は、復讐という選択がもたらす悲劇的な結末を暗示しながら幕を閉じます。

評価と影響

本作は、ただのアクション映画ではなく、ベトナム帰還兵の孤独や心理的苦痛を描いた深い作品として評価されています。影響力はジャンルを超え、今も多くの作品にその痕跡を残しています。クエンティン・タランティーノが愛する映画として知られており、その影響は彼の作品にも見ることができます。そうした視点からも、『ローリング・サンダー』は今尚、多くの観客に新たな感動を与え続けています。

もう一度検索