ロールス・ロイス コンウェイ

RB.80 コンウェイターボファンエンジン

RB.80 コンウェイは、1950年代から1960年代初頭にかけて使用された、世界初の実用的なターボファンエンジンです。このエンジンはロールス・ロイスによって開発され、当時の航空機技術において重要な役割を果たしました。また、名称はウェールズのコンウェイ川に由来しています。これにより、ロールス・ロイスが従う伝統、すなわちジェットエンジンに川の名を付けるというスタイルが反映されています。

歴史的背景

初期のジェットエンジンは、高速かつ高温でエネルギーを排出していました。このため、エネルギーを一部回収し、その効率を高める方法が模索されていました。ターボプロップエンジンはその代表的な例で、生成されたエネルギーの一部をプロペラを回すために利用するアイデアでした。しかし、プロペラの性能を向上させるとともに高速を実現することは難しく、多くの専門家がこの課題に直面しました。

ターボファンエンジンの基本的なコンセプトは、すでに初期のジェットエンジン設計において探求されていました。たとえば、アラン・アーノルド・グリフィスは1930年代から複数のエンジン設計のアイデアを持っていましたが、第二次世界大戦の影響により、簡便で迅速に実戦投入できるジェットエンジンの開発が優先されました。戦後、ロールス・ロイスは新しいバイパスエンジンの開発に着手し、1950年代にはエイヴォンエンジンが登場しました。

グリフィスは新たなバイパスエンジンの設計に向けて、エイヴォンエンジンのデータを元に、それまでの技術を更に発展させる取り組みを行いました。1947年４月には、推力5,000 lbfを誇る設計が出来上がり、さらなる改良が重ねられ、最終的には推力9,250 lbfのRB.80 コンウェイに進化しました。このエンジンは、ビッカース ヴァリアント爆撃機の動力源としても計画されていました。

技術的仕様

RB.80 コンウェイは、低バイパス比の軸流式ターボファンエンジンであり、バイパス比はおおよそ25%です。このエンジンは、7段式の軸流式低圧圧縮機を有し、最初の6つのステージはアルミニウム製であり、最後のステージはチタン製です。また、9段式の高圧圧縮機の材料も同様に設計され、最初の7段はチタン製、最後の2段は鋼鉄製です。バイパスハウジングはチタン製で、燃焼室は10のカンニュラー式燃焼室で構成されています。

高圧圧縮機は2段の空冷式タービンによって駆動され、低圧圧縮機は単段のタービンで動かされます。このエンジンは離陸時において推力17,150 lbfを発生し、その重量は約4,500 lb、燃料消費率は0.87とされています。

まとめ

RB.80 コンウェイは、ターボファンエンジンの開発史において重要なマイルストーンとなったエンジンです。実用化された初のターボファンエンジンとして、特定の航空機へ搭載され、その性能は航空機の運行効率を向上させることに寄与しました。歴史的な価値から見ても、コンウェイは航空機技術の進化を物語る指標とも言える存在です。

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