ロールス・ロイス コンドル

コンドルエンジンについて

コンドル（Condor）は、イギリスの名門航空機エンジンメーカー、ロールス・ロイスによって開発された航空機用のレシプロエンジンです。このエンジンは、第一次世界大戦後期における長距離戦略爆撃機の必要性から生まれ、航空機技術の進展に寄与しました。

コンドルI - 戦時技術の集大成

第一次世界大戦が終息に向かう中、イギリス政府は長距離爆撃機の必要性を認識し、1917年にロールス・ロイスに対し新しいエンジンの開発を依頼しました。結果、コンドルIが誕生しました。このエンジンは内径139.7mm、行程190.5mmの設計で、排気量は2,137in³（35,000cc）を誇り、出力は600hpに達しました。新たにセルスターターを装備し、エンジンの起動を容易にしたことが特筆されます。また、SOHCからラジアル4バルブという新しい機構への転換も行われましたが、その性能向上はあまり大きくなく、後に過給器が実用化されたためこの設計は以降採用されませんでした。最終的にコンドルIが完成したのは1920年で、第一次世界大戦には間に合いませんでしたが、ロールス・ロイスにとっては重要な経験となりました。

コンドルII - パワーアップの第一歩

続いて開発されたコンドルIIは、出力が650hpへと強化され、新たなエンジン性能を提供しました。これにより、航空機の運動性能がさらに向上し、多様な用途に活用されることとなります。

コンドルIIIとIV - さらなる改良

コンドルIIIは出力670hpに向上し、さらにIIIAはメインベアリングを強化した型、IIIBはクランクケースが強化された型として登場しました。このようにして、コンドルシリーズは次第に進化し、コンドルIVでは750hpに達しました。このモデルではマウント改良も施され、さらなる安定性を提供しました。

コンドルV - ターボチャージャーの導入

その後、コンドルVでは2段式ターボチャージャーが装備され、出力と効率が一層向上しました。ターボチャージャーの導入により、エンジンの高出力化が図られ、様々な条件下での性能向上が期待できるようになりました。

コンドルVII - 安定性の向上

コンドルVIIは、過去のモデルIIIAの改良型として登場。これにより、さらなる出力向上と安定性を実現しました。

コンドルCI - ディーゼルエンジン型の登場

1932年に完成したコンドルCIは、ディーゼルエンジン型として新たな展開を見せました。これにより、コンドルシリーズはレシプロエンジンの多様な用途にチャレンジし、技術的にも革新をもたらしました。

まとめ

コンドルエンジンシリーズは、ロールス・ロイスによる航空機エンジンの発展を象徴するものです。シリーズごとにエンジンは改善され、出力の向上、新技術の導入が行われました。航空機の性能向上に貢献し、航空界における重要な名作の一つとなっています。

参考文献

• - 『ワールド・カー・ガイド27ロールス・ロイス&ベントレー』ネコ・パブリッシング ISBN 4-87366-166-8

もう一度検索