クランクケース

クランクケースについて

クランクケースとは、レシプロエンジンの中でも特に重要な構造の一つで、クランクシャフトが収まる箱状の部品のことを指します。この部分は、エンジンの性能と信頼性に直結する役割を果たしています。

機能と役割

クランクケースの主な機能は、クランクシャフトを支える軸受構造を保持することであり、エンジン内部に異物が侵入することを防ぎ、正常な動作を支えることです。また、エンジン設計や用途に応じて、騒音の抑制機能などの追加機能が組み込まれることもあります。

オートバイ用エンジンにおいては、クランクケースがシリンダーと独立した部品として設計されていることが多いのですが、現代の自動車エンジンでは、クランクケースがシリンダーブロックに一体化されている場合が一般的です。

2ストロークエンジンにおけるクランクケース

2ストロークエンジンでは、ピストンの上昇と共に混合気がクランクケースに吸い込まれ、ピストンが下降する際にこの混合気が圧縮されてシリンダーに送られます。この過程で、クランクケースは気密性を保つために設計されており、逆流を防ぐリードバルブが備えられています。ここでの圧縮は「一次圧縮」として知られ、エンジンが必要とする圧力を生むのです。

2ストロークエンジンでは、オイルはクランクケースに溜まることはなく、混合気とともに燃焼室へ送り込まれるため、同時にオイルが供給される仕組みになっています。

4ストロークエンジンにおけるクランクケース

4ストロークエンジンにおいては、クランクケースは一次圧縮を行う必要がないため、主にクランクシャフトの潤滑を行うエンジンオイルが飛散しないようにする役割を果たしています。また、ブローバイガスによる圧力を調整するために、クランクケースブリーザーと呼ばれる装置が設けられています。

潤滑方式には、ウェットサンプとドライサンプの二種類があります。ウェットサンプ方式では、クランクケース下部のオイルパンにオイルが溜められ、油かき板やオイルポンプを通じてエンジン各部に必要な潤滑が行われます。対して、ドライサンプ方式ではエンジン外部のタンクからオイルを供給するため、クランクケースはオイルを集めスカベンジングポンプを介して再利用する仕組みです。

オープンクランクエンジン

循環型潤滑方式が一般的になる前には、クランクシャフトが外部に露出したオープンクランクエンジンという構造も存在しました。この場合、エンジン使用中や始動前に定期的にオイルを注入する必要があります。整備しやすい反面、オイルが飛び散りやすく、ベアリングの摩耗が早いため、頻繁にメンテナンスが必要になる点がデメリットです。

クランクケースは、エンジンの効率や耐久性にとって重要な役割を果たしており、その設計や機能はエンジンの種類や性質によって大きく異なることがわかります。

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