ロールス・ロイス ペガサス

ペガサスエンジンの概要

ペガサス（英: Pegasus）は、ブリストル社が設計したターボファンエンジンであり、後にロールス・ロイスと合併しました。このエンジンは、推力を偏向させる機構を持ち、主に垂直/短距離離着陸機|垂直_短距離離着陸機（V/STOL機）に使用されます。特にホーカー・シドレーのハリアーやその派生機体に幅広く搭載されています。これまでに約1,200台が出荷され、2005年時点で200万時間以上の飛行時間を誇ります。

歴史的背景

ペガサスエンジンの開発は、V/STOL機の需要から始まりました。第二次世界大戦中に実用化されたヘリコプターは存在していましたが、前進飛行時の効率が悪く、より効率的な固定翼機が求められました。1956年、フランスの航空技術者ミシェル・ウィボーは、エンジンの推力を偏向させる手法（ベクタード・スラスト）に着目し、ジロプテールという機体を提案しました。

しかし、ブリストル社のスタンリー・フッカー技師が注目したのは、ウィボーが考案した遠心式ブロアーではなく、軸流ファンを利用した設計でした。この成果をもとに、1957年にはBE 53エンジンが開発されました。これが後のペガサスエンジンにつながります。

エンジンの進化

1957年に試作されたP.1127/1はBE 53を用いたもので、垂直離着陸能力を持っていましたが、その後段の排気が後方に向けられていたため、完全なV/STOLエンジンとは言えませんでした。そこで改良が進められ、BE 53/2が1959年に誕生しました。これは、完全に偏向可能なノズルを持ち、後にペガサス1と呼ばれました。この段階で、すでに多くの基本的な設計思想が固まっています。

さらに、ペガサスシリーズは進化を続け、1960年にはペガサス2が開発され、推力が増強されました。続いてペガサス3が登場し、1962年にはペガサス5が初運転を行い、パフォーマンスが向上しました。ハリアーやドルニエDo 31といった機体に搭載され、実際の運用に供されました。

主要搭載機

ペガサスエンジンは、数々の航空機に搭載されています。代表的な機体には、ホーカー・シドレーのP.1127、ケストレルF.(GA).1、ドルニエDo 31、アームストロング・ホイットワースAW.681などがあります。また、ペガサス6からは制式モデルとしてイギリス空軍においてペガサスMk.101と称され、様々な改良が施されています。

特に目を引くのは、1966年のハリアーGR.1の試作機に搭載されたペガサス6や、その後のペガサス10および11のモデルです。それぞれのバージョンでは推力が向上しており、特にペガサス11においては輸出仕様のアメリカ海兵隊向けエンジン（F402-RR-401）として広く使われました。

近代化への対応

ペガサスエンジンは、近代的な航空機に必要な性能を提供するために、度重なる改良が行われました。特にFADEC（フル・デジタル・エンジン・コントロール）の導入により、エンジンの効率や性能が大幅に向上しています。また、非常時のパフォーマンスや気象条件に対応できる能力が求められ、設計が進められています。

結論

ペガサスエンジンは、航空技術における重要な進展を示す存在であり、そのV/STOL機能は軍用機の運用形態に革命をもたらしました。今後も、さらなる技術革新が期待されるエンジンです。

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