ローレンス・ハイド (初代ロチェスター伯爵)

初代ロチェスター伯爵ローレンス・ハイド

ローレンス・ハイド（1641年3月 - 1711年5月2日）は、イギリスの貴族であり政治家として知られる。ステュアート朝に仕え、様々な重要な役職を歴任した後、トーリー党の幹部として活動した。

生涯

初期の経歴

ローレンス・ハイドは、後の初代クラレンドン伯爵エドワード・ハイドとその妻フランシス・アリスバーリーの次男として生まれた。彼は第2代クラレンドン伯爵ヘンリー・ハイドおよびジェームズ2世の最初の妃アン・ハイドの弟であり、メアリー2世とアンは彼の姪に当たる。
1660年、王政復古が行われ、父親とチャールズ2世がイングランドに戻ると、ローレンスは議会の総選挙でニューポートから下院議員に選出された。1661年の選挙ではオックスフォードから立候補し、騎士議会で議席を確保した。その後、1661年から1662年にかけてフランス大使を務め、1662年から1675年まで王室衣装係として宮廷に仕えた。
また、1667年に父が失脚した後もイングランドに留まり、1676年にはポーランド大使、ウィーン大使として活動した。彼は仏蘭戦争の講和条約、特にナイメーヘンの和約でイングランドを代表する一人となった。

1679年、チャールズ2世による議会解散後、彼はウィルトシャーのウートン・バセット選挙区に移り、見事に当選。チャールズ2世の主要顧問として第一大蔵卿に任命され、1681年にはフランスからの財政援助を求める条約に関与した。これにより、議会と王政の対立を緩和し、1682年にロチェスター伯爵、ハイド子爵、ウートン・バセット男爵に叙爵された。

ジェームズ2世との対立

その後、彼は王璽尚書のハリファックス侯ジョージ・サヴィルによる財政調査で4万ポンドを失くした不始末が明らかになり、1684年に大蔵卿を更迭され、枢密院議長に転任となる。しかし1685年にチャールズ2世が死去すると、彼の義理の兄であるジェームズ2世が即位し、ローレンスは再び第一大蔵卿に任命された。

ローレンスは、ジェームズ2世がカトリック教徒であったため、彼の政策に不信感を募らせていた。1686年、ジェームズ2世から改宗を強要されるが拒絶した結果、1687年に罷免された。その後、彼の兄も不満から辞任することとなり、ハイド兄弟は政権から排除された。
ジェームズ2世は1687年に信仰自由宣言を発布し、親カトリックの勢力を育てる施策を取ったが、ローレンスは依然として反対の立場を貫いた。

名誉革命以後

1688年の名誉革命では、ウィレム3世がイングランドに上陸した際、彼はジェームズ2世の元に留まり続けたが、ジェームズが亡命すると、ローレンスは暫定政権を形成し治安維持に努めた。その結果、名誉革命が成功し、翌年に開催された議会では王位継承について意見を表明した。ローレンスはウィレム3世とメアリーに忠誠を誓い、政務を預かる立場になる。

1700年、彼はアイルランド総督に任命されるが、実行には移さず非国教徒の公職排除を進める法律を提出した。しかし、ウィリアム・ハーレーが政権を掌握すると、ロチェスターは政治的に疎外されることになる。1703年には罷免され、以降は政府批判に回り、ホイッグ党政権の海外派兵政策に反対する。

やがて、ローレンスはハーレーと協力し、トーリー党が与党となると、その後も影響力を持ち続けたが、1711年に70歳で死去した。

子女

ローレンスは1665年にバーリントン伯爵リチャード・ボイルの娘ヘンリエッタと結婚し、三人の子をもうけた。彼の子供たちは、歴史に名を残すことになる。

ロチェスター伯爵位は息子ヘンリーが継承したが、1753年にその血筋は途絶え、その爵位は消滅することとなる。

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