王璽尚書

王璽尚書（Lord Keeper of the Privy Seal）

王璽尚書は、イングランド王国政府及びイギリス政府における伝統的な官職であり、この役割は国王の御璽を管理し、関連する行政業務を担当します。歴史的には「Privy Seal」として、君主の私的な印章を管理するための役職でした。1873年までは、国璽は大法官が兼任する形で国璽尚書が管理していましたが、その後、国璽尚書と王璽尚書が統合され、両方の印章の管理を任されることになりました。

現在の王璽尚書は、イギリス政府で最も古い役職の一つであり、その序列は国務大官の中で5番目に位置しています。しかしこの役職は事実上、実務上の職責がなく、無任所大臣扱いされることも多いため、時に重要なポストとは見なされないこともあります。さらに、王璽尚書の職には貴族院の議員資格が与えられず、1951年に外相からの退任後に就任したアーネスト・ベヴィンは、「王璽尚書は貴族でも枢密院のメンバーでも印章でもない」と述べたとされています。

マーガレット・サッチャー首相の在任時期から、王璽尚書にはしばしば貴族院議長や庶民院議長が任命される傾向が見られます。2003年以降は、庶民院院内総務との兼任が慣例となり、2014年からは貴族院院内総務がこの職を兼任しています。

この役職には多くの有名な歴代の王璽尚書が存在し、中には国政に影響を与えた人物も多くいます。以下に主な任命者の一覧を示します。

歴代王璽尚書の例

• - ウィリアム・メルトン (1307-1312)
• - トマス・チャールトン (1316-1320)
• - リチャード・エアマイン (1324-1325)
• - ウィリアム・ハワード (1572-1573)
• - ロバート・カー (1614-1616)
• - ダドリー・ライダー (1855-1858)
• - ロバート・ウィン＝キャリントン (1911-1912)
• - クレメント・アトリー (1940-1942)
• - ハリエット・ハーマン (2007-2010)
• - ナタリー・エヴァンス (2016-2022)
• - アンジェラ・スミス (2024-)

王璽尚書はこのように、イギリスの政治史において重要かつ伝統的な役割を果たしてきました。その役割は時代とともに変化していますが、依然として歴史的意義は大きいと言えます。王璽尚書の存在は、歴代の政治家や指導者に影響を及ぼし、その任命は歴史を語る際の重要な要素とされています。

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