ローレンス・ハーグレイヴ

ローレンス・ハーグレイヴ：オーストラリアの航空工学の先駆者

ローレンス・ハーグレイヴ（Lawrence Hargrave）は、1850年1月29日にイギリスのグリニッジに生まれ、1915年7月6日に亡くなったオーストラリアの発明家です。航空工学の先駆者として知られる彼は、有人飛行には成功しなかったものの、彼の研究や開発した箱凧や航空機用ロータリーエンジンは後の重航空機に大きな影響を与えました。

前半生

ハーグレイヴは、グリニッジにてジョン・フレッチャー・ハーグレイヴの次男として生まれました。1865年に家族と共にオーストラリアに移住し、シドニーで技師としての道を踏み出します。1867年にはオーストラリア蒸気船会社で技師見習いとして働き、その後ニューギニアやパプア湾の探検に参加するなど、多彩な経験を積み重ねました。1878年にはシドニー天文台の助手として働き、約5年間の経験を経て、1883年には自らの研究に専念すべく辞職しました。

発明家としての活動

ハーグレイヴは、若い頃から数々の実験を行い、特に飛行機械の開発に熱意を注ぎました。1885年、父の死後に遺産を相続した彼は、フルタイムでの研究を決意し、スタンウェル・パークで様々な実験を行なうようになります。この地は風の条件に恵まれ、後にはハンググライダーやパラグライダーの聖地となりました。

彼は、多くのモデルを制作し、その成果を「ニューサウスウェールズ王立協会」の誌に発表しました。1889年には、彼が開発したロータリーエンジンが注目を集め、1930年代の航空機にも多用されることになります。特に1894年に成功した箱凧の実験では、彼が自ら16フィートの高さに浮上することに成功し、箱凧の安定性が証明されました。

業績とその影響

ハーグレイヴの業績は、生前はあまり評価されていませんでしたが、後にその重要性が認識されました。彼の作成したモデルはニューサウスウェールズ州の知事に贈られることが提案されたものの拒絶され、結果としてはドイツの博物館に収蔵されることとなります。彼は、他にも水中翼船や波動推進船などの実験も行い、多彩な発明に取り組みました。

晩年と死

ハーグレイヴは、手術後に腹膜炎を患い、1915年に亡くなりました。彼の遺体は、太平洋を臨むウェイヴァリー墓地に埋葬され、永遠に海を見守る存在となりました。

記念と影響

彼の功績は徐々に評価され、1966年から1994年まで流通したオーストラリアの20ドル紙幣には、彼の姿とともに設計したグライダーが描かれています。また、スタンウェル・パークには彼の記念碑が立てられ、彼を称える数々のイベントも開催されています。シドニー大学の航空工学教授の名として「ハーグレイヴ教授」の名が冠されているように、彼の影響は今なお続いています。

ローレンス・ハーグレイヴは、オーストラリアの航空工学に多大な影響を与えた人物であり、後世に残る技術開発の礎を築いたのです。

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