ワイアット・クロケット

ワイアット・クロケットは、ニュージーランド出身の元プロラグビー選手です。プロップとして、長きにわたり世界のトップレベルでプレーしました。強靭なフィジカルと経験豊富なプレーで、所属チームやニュージーランド代表「オールブラックス」のスクラムを支え続けました。

1983年1月24日、ニュージーランド南島のクライストチャーチに生まれます。プロップというポジションに求められる恵まれた体格を持ち、身長は193センチ、体重は112キロを誇りました。

ネルソン・カレッジでラグビーの基礎を学び、その才能を早くから開花させました。若い頃から国内の主要な選抜チームに名を連ね、2002年には19歳以下代表、2004年には21歳以下代表に選出されます。次世代のオールブラックス候補が集うジュニアオールブラックスにも、2006年と2007年の2年連続で選出されるなど、ユース世代におけるニュージーランド屈指のプロップとしての地位を確立しました。

アマチュア時代からステップアップし、2005年には国内最高峰の州代表対抗戦であるエアニュージーランドカップ（現在のITM CUP）において、地元カンタベリー州代表チームでプレーを開始。ここで確かな実力を示したことが、スーパーラグビーへの道を切り開きました。翌2006年には、スーパーラグビーの名門中の名門、クルセイダーズに加入します。彼はクルセイダーズのスクラムを支える重要な柱となり、チームの成功に貢献しました。特に、その耐久性と安定したパフォーマンスは高く評価され、クルセイダーズにおける歴史的な長期在籍期間を築きました。

クルセイダーズでの圧倒的な存在感が評価され、2009年には世界最強と称されるニュージーランド代表「オールブラックス」に初めて選出されました。同年11月のイタリア代表戦で待望の代表デビューを果たし、長年の夢を実現させます。以降も、オールブラックスの一員として国際試合に出場し、世界トップレベルのプロップたちと鎬を削りました。その経験とリーダーシップは、オールブラックスの強力なフロントローを形成する上で欠かせない要素となりました。

長いキャリアの終盤、クロケットは新たな挑戦の場として日本のトップリーグを選択しました。2019年にパナソニック ワイルドナイツ（現在の埼玉パナソニックワイルドナイツ）に加入し、日本のラグビーファンにもそのパワフルなプレーを披露しました。日本での一シーズンを経て、2020年にプロラグビー選手としての現役生活に終止符を打ちました。

ワイアット・クロケットのキャリアは、プロップというポジションの重要性を体現しています。スクラムでの圧倒的な力、ブレイクダウンでの献身的な働き、そしてフィールド全体での積極的なプレーは、彼の代名詞でした。ユース代表から始まり、州代表、スーパーラグビー、そしてオールブラックスというラグビー大国ニュージーランドのエリートコースを駆け上がり、最終的に日本リーグでもプレーするという、まさにプロップとして理想的なキャリアパスを歩んだと言えるでしょう。彼のラグビー界への貢献は、多くの若手選手にとっての手本となるものです。

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