ワイルド・ギース (映画)

ワイルド・ギース (1978年の映画)

『ワイルド・ギース』（The Wild Geese）は、1978年に制作・公開されたイギリス映画であり、ダニエル・カーニーの原作を基に、第二次世界大戦後のアフリカを舞台として、国家や主義・理想ではなく、金のために戦場に身を投じる傭兵たちの姿を描いた作品です。

概要

本作はフィクションでありながらも、主人公であるフォークナー大佐のモデルは、実在した傭兵マイク・ホアーであるという点が特徴です。ホアー自身も本作のミリタリーアドバイザーを務めており、リアリティを追求しています。また、出演者の中には、ホアーの下で実際に戦った経験を持つ元傭兵イアン・ユール（トッシュ・ドナルドソン軍曹役）や、アフリカ生まれで捕虜経験のある俳優も含まれており、彼らの存在が作品に深みを与えています。ドラマティックなストーリー展開と迫力ある戦闘シーンが相まって、傭兵を題材とした戦争映画の傑作として高く評価されています。

ストーリー

物語は、元傭兵隊長のアレン・フォークナー大佐が、イギリス人富豪マターソン卿から、アフリカ某国の前大統領ジュリアス・リンバニの救出を依頼されるところから始まります。リンバニは、かつてフォークナーを雇ったカリスマ的な民族指導者でしたが、クーデターによって捕らえられ、幽閉されていました。マターソンの真の目的は、銅鉱山の利権を得るために独裁政権を打倒することでした。

フォークナーは依頼を受け、まず天才的な作戦参謀であるレイファー（一人息子と画商を営む）と、仕事にあぶれマフィアの使い走りをしていた女好きのショーン（あらゆる飛行機を操縦できる）を仲間に引き入れます。さらに、ショーンのつてで、職を失い困窮していた元南アフリカ治安警察官でボウガンの使い手でもあるピーターを加え、この3人を中核として、50人の救出部隊を編成します。部隊には、フォークナーの旧友で退役軍人のサンディ、元空挺隊員のトッシュ、元高地連隊隊員のジョック、元衛生兵のウィッティなどが参加し、金のため、あるいは現状に倦み冒険を求めて集まった彼らは、サンディの指揮のもと厳しい訓練を受け、一流の戦争プロフェッショナルへと変貌を遂げます。

クリスマス、フォークナーたちはC-130から自由降下で敵地に潜入し、リンバニが監禁されている兵舎を襲撃し、見事救出に成功します。しかし、脱出地点の空港を制圧したショーンらの目の前で、迎えのC-130は救出部隊を置き去りにして離陸してしまいます。マターソンが独裁政権と裏取引を行い、リンバニと救出部隊が邪魔になったため裏切ったのです。

退路を断たれたフォークナーたちは、奪取した車両でリンバニの故郷であるカリマ村を目指しますが、途中で敵の空襲を受け、多くの仲間を失います。フォークナー、リンバニ、ピーター、ジェシー、ウィッティの5名は、レイファー、ショーンらと分断され、徒歩での移動を余儀なくされます。執拗な追跡の中、ウィッティやピーターが命を落とし、ようやくレイファーらと合流したフォークナーたちは、リンバニの故郷で内戦を勃発させ脱出を試みますが、失敗に終わります。

絶望的な状況の中、レイファーの旧知の宣教師から、近くの飛行場に放置されたDC-3（ダコタ）があることを知らされます。ショーンが機体を修理し、脱出を決意しますが、その間に敵の襲撃を受け、激しい銃撃戦となります。多くの仲間が倒れ、リンバニも被弾する中、フォークナーたちは辛うじてDC-3に乗り込み離陸します。しかし、ジョックが被弾、重傷を負ったレイファーは、フォークナーに射殺を懇願し、フォークナーは苦渋の決断を下します。

DC-3はローデシアを目指しますが、燃料切れで片肺飛行となり、領空侵犯を警告されます。リンバニがコンゴ危機に関する情報を託し絶命した後、フォークナーたちは緊急着陸を許可され、13名の生存者が生き残ります。

数か月後、フォークナーはマターソンの自宅を訪れ、遺族のために隠し金庫から50万ドルを奪い、マターソンを射殺します。そして、レイファーの遺児が通う寄宿学校を訪れ、「父さんの話をしよう。」と語りかけるのでした。

キャスト

(省略)

スタッフ

(省略)

日本公開

日本では1978年に公開され、新宿住友ビルの壁面に映画のダイジェスト版を投影するイベントが行われました。

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