ワカフツヌシ

ワカフツヌシについて

ワカフツヌシ（和加布都努志、和加布都怒志、若布都主）は、日本神話に登場する神であり、特に出雲地方での信仰が強い存在です。彼についての記録は主に『出雲国風土記』に見られ、出雲郡と秋鹿郡に関連する逸話が記されています。

概要

『出雲国風土記』によれば、ワカフツヌシは親神であるオオナモチの子神とされています。彼にまつわる話は、狩りや天地の創造に関するものであり、古代出雲の土地に深く根付いた信仰の象徴ともいえます。

秋鹿郡の逸話

秋鹿郡の大野郷では、ワカフツヌシが狩りをした際の伝説があります。彼が山で待機させた人が猪を追っている最中、猪の足跡が消失してしまったという話があります。そこで彼は「自然となってしまった」と述べ、これがこの地の名称が内野に変わるきっかけとなりました。現在では依然として大野という誤った呼称が用いられています。

出雲郡の伝承

美談郷においては、ワカフツヌシが天地が分かれた後に天の御領田の長として仕えた神であるとされています。この神の存在があったため、この地は「三太三」と名付けられ、後に美談に改称されました。近年では、彼の神社でもある正倉が重要視されています。

考証と神名の意義

ワカフツヌシの位置づけについては、意宇郡の楯縫郷や山国郷に布都努志命が関連づけられている一方で、経津主神との関係は明確ではありません。美談郷の記録では、彼をオオナモチの子神として考えていますが、『日本書紀』の記述とはかなり異なります。これにより、ワカフツヌシをフツヌシと同一視する説も存在し、その信仰の変遷を考察しています。

神名の由来に関しては刀剣との関連が示唆されていますが、神話における彼の役割は狩りや農耕に関わるものです。刀剣神としての側面があまり見受けられないことから、神名と神話の乖離についての問題が指摘されています。

牛飼神としての信仰

地元では、ワカフツヌシは牛を飼育する技術に優れた神としても知られています。出雲地域では牛の飼育が盛んであり、そのため彼が牛飼神として崇拝されています。出雲大社本殿には、彼を祭る神像とともに耕牛の神像が飾られており、この地域の農業とも密接に関係しています。

ワカフツヌシを祀る神社

ワカフツヌシを信仰する神社は、日本各地に存在します。たとえば、

• - 大江神社（鳥取県八頭郡） - 合祀
• - 内神社（島根県松江市） - 主祭神
• - 縣神社（島根県出雲市） - 合祀
• - 出雲大社（島根県出雲市） - 本殿客座
• - 八重山神社（島根県大田市） - 祭神
• - 生庶神社（岡山県） - 主祭神

これらの神社は、地域ごとに様々な形で彼を奉っており、信仰の広がりを示しています。ワカフツヌシは、日本の神々の中でも一際地域に根付いた重要な存在といえるでしょう。

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