ワシントン合意 (ボスニア・ヘルツェゴビナ)

ワシントン合意は、1994年3月1日にアメリカ合衆国のワシントンD.C.で、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の当事者間で締結された和平協定です。この合意は、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府、同国内のクロアチア人勢力であるヘルツェグ＝ボスナ・クロアチア人共和国、そしてクロアチア共和国の間で交わされました。

調印者は、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府の首相ハリス・シライジッチ、クロアチア共和国政府の外相マテ・グラニッチ、そしてヘルツェグ＝ボスナ・クロアチア人共和国の大統領クレシミル・ズバクでした。この合意の主な内容は、ボスニア・ヘルツェゴビナの領土を、ボシュニャク人主導のボスニア・ヘルツェゴビナ政府とクロアチア人勢力の統制下にある地域に分割し、それぞれに地方分権的な10の県を設置するというものでした。そして、これらの10の県からなるボスニア・ヘルツェゴビナ連邦を創設することが合意されました。

県の区分けは、民族間の支配関係が生じないように配慮して決定されました。これにより、ボシュニャク人とクロアチア人との間の紛争を収束させ、共同での国家建設を目指すこととなりました。

ワシントン合意は、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の解決に向けた重要な一歩となりましたが、紛争全体の終結には至りませんでした。その後、1995年12月14日にセルビア人勢力も加えたデイトン合意が締結され、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争は最終的な和平を迎えました。

ワシントン合意は、紛争当事者間の交渉による和平達成の可能性を示すとともに、その後のデイトン合意へと繋がる重要な役割を果たしました。

関連情報：
デイトン合意 - 1995年12月14日、セルビア人勢力も含めたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の最終和平合意
米国平和研究所: ワシントン合意

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