ワシントン準州

ワシントン準州：アメリカ合衆国建国史における重要な一章

1853年2月8日、アメリカ合衆国に新たな自治的領域、ワシントン準州が誕生しました。その範囲は、それまでオレゴン準州に属していたコロンビア川の北側、およびコロンビア川の東側（北緯46度線以北）でした。当初は「コロンビア準州」という名称が提案されていましたが、ケンタッキー州選出の下院議員リチャード・H・スタントンの提案により、初代アメリカ合衆国大統領ジョージ・ワシントンの名にちなんで命名されました。

準州都はオリンピアに定められ、初代知事にはアイザック・スティーブンスが就任しました。当初のワシントン準州は、現在のワシントン州だけでなく、アイダホ州北部とモンタナ州の一部（大陸分水界以西）もその領域に含んでいました。広大な土地を管轄下に置く、まさに開拓時代の準州だったと言えるでしょう。

1859年、オレゴン州が州に昇格したことに伴い、ワシントン準州の管轄範囲はさらに変化します。オレゴン準州の東側、すなわち現在のアイダホ州南部とワイオミング州の一部（大陸分水界以西、当時ネブラスカ準州の一部）、さらにモンタナ州の一部がワシントン準州に編入されました。

しかし、この広大な領域はその後、再編されることになります。1863年、スネーク川と西経117度線の東側にある地域が新たに設置されたアイダホ準州に編入され、ワシントン準州の領域は現在のワシントン州とほぼ同じ範囲となりました。これは、開拓が進み、新たな行政区分が必要となったことを示しています。

その後、36年にわたる道のりを経て、ワシントン準州は1889年11月11日、アメリカ合衆国42番目の州として合衆国への加盟を認められました。これは、長年にわたる開拓者たちの努力と、アメリカ合衆国の西進政策の重要な転換点と言えるでしょう。ワシントン準州の成立と州昇格は、アメリカ合衆国の歴史における重要な出来事であり、その過程には多くの困難と変遷がありました。その歴史を理解することは、現在のワシントン州、ひいてはアメリカ合衆国を理解する上で非常に重要です。

このワシントン準州の歴史を学ぶことで、現在のワシントン州の地理的特性や政治的発展、そしてアメリカ合衆国の西進史に対する理解が深まります。また、アイダホ州やモンタナ州といった近隣州との歴史的つながりについても知ることができます。準州時代は、現在の州の姿を形作る上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。州昇格までの道のりをたどることで、開拓時代の困難さや人々の努力、そしてアメリカという国の発展のダイナミズムを肌で感じることができるはずです。

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