ワッセナー・アレンジメント

ワッセナー・アレンジメントとは

ワッセナー・アレンジメント（英: Wassenaar Arrangement）は、通常兵器の輸出管理に関する国際的な取り決めです。42カ国が参加するこの合意は、冷戦後の安全保障環境に適応した形で1996年7月に設立されました。名前の由来は、オランダのワッセナーで行われた設立交渉にあります。

このアレンジメントは「新ココム」とも呼ばれ、その正式名称は「通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント」となっています。目的は、第三国への通常兵器の過剰な蓄積を防ぎ、地域の安定を追求することです。

設立背景

冷戦が終結すると、共産圏への戦略物資の輸出を管理していた「対共産圏輸出統制委員会（COCOM）」は、その役割を終えました。その後、2年半の経過措置を経て、一般的な輸出規制へと移行した結果、1996年にワッセナー・アレンジメントが設立されました。これにより、特定の対象国にこだわらず、すべての国・地域やテロリストといった非国家主体を対象にした輸出管理が行われることとなりました。

目的

ワッセナー・アレンジメントが目指すのは、以下の2つの重要な側面です。
1. 通常兵器の過度の移転と蓄積の防止：地域間や国際的な安定を損なう要因となるべく、責任ある輸出管理を通じて通常兵器の移転を厳しく管理します。
2. テロリストによる通常兵器や関連技術の獲得防止：テロリズム対策として、通常兵器や先端技術が不正に流出するのを防ぐことも重要な目的です。

活動内容

協議と情報交換

ワッセナー・アレンジメントでは、毎年参加国間で輸出管理の方向性や実施状況について協議が行われます。特に、以下の2点が重要です。

• - 輸出管理対象品目リストの策定：輸出管理の対象となる品目は「汎用品リスト」と「軍需品リスト」に分かれており、汎用品リストはさらに基本リストと機微リストに区別されます。これによって効果的に輸出対象が管理されています。
• - 情報交換の促進：参加国間での情報の共有と調整を行い、互いに有効な管理手法を取り入れる努力がされています。

参加国とその影響

現在、ワッセナー・アレンジメントには42カ国が参加しており、加盟国は主にヨーロッパ、北アメリカ、アジアなど多岐にわたる地域に分布しています。特に日本においては、ワッセナー・アレンジメントを基にした合意に基づき、外国為替及び外国貿易法を介して輸出管理が行われています。そして、規制対象となる製品や技術については、経済産業省の許可が必須であり、輸出の際には厳格な審査が行われます。

そのため、ワッセナー・アレンジメントの合意は、日本国内の輸出管理制度にも大きな影響を与えています。具体的には、政令「輸出貿易管理令」や「外国為替令」などに、合意事項が組み込まれています。

結論

ワッセナー・アレンジメントは、通常兵器の責任ある輸出管理を通じて国際的な安全保障を確保することを目的とした重要な国際協力の一環であり、テロリズム対策や地域安定の観点からも意義深いものです。このアレンジメントは法的拘束力は持ちませんが、参加国間の意思統一や情報交換を促進することで、国際社会の安定に寄与しています。

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