ワルインゲ中山

フィリップ・ワルインゲ、通称ワルインゲ中山は、1945年2月3日にケニアのナイロビで生まれ、2022年10月19日に77歳で亡くなった元プロボクサーです。

アマチュア時代は188戦168勝20敗という輝かしい戦績を残し、ケニア国内ではエリートとして知られていました。オリンピックには3度出場し、1964年の東京オリンピック、1968年のメキシコシティーオリンピック、そして1972年のミュンヘンオリンピックでそれぞれ活躍しました。メキシコシティーオリンピックでは銅メダルを獲得し、大会最優秀選手に贈られるヴァル・バーカー・トロフィーを受賞。ミュンヘンオリンピックでは銀メダルを獲得しました。

1973年に来日し、大阪の神林ジムからプロに転向。同年7月27日には、元日本フェザー級王者の進藤公雄との8回戦でプロデビューを果たし、判定勝利を収めました。その後、東洋ランカーのジョー・マロンゾにTKO負け、牛若丸原田に判定負けを喫するなど苦戦しましたが、1975年4月7日には日本ジュニアフェザー級王者の江藤清一を破り、プロ初のタイトルを獲得しました。同年6月27日には、世界挑戦を控えていた日本バンタム級王者の沼田久美とのノンタイトル戦に勝利しています。

1976年4月3日、パナマでWBC世界ジュニアフェザー級王座決定戦に挑みましたが、リゴベルト・リアスコにTKO負けを喫し、世界王座獲得はなりませんでした。しかし、日本ジュニアフェザー級王座は4度防衛しています。同年11月13日には、メキシコでカルロス・サラテが持つWBC世界バンタム級王座に挑戦しましたが、KO負けを喫しました。1977年1月30日には、笠原優にKO負けを喫し、日本王座を失いました。同年7月16日の再戦でもKO負けを喫しています。

1978年に網膜剥離のため引退。プロボクシングの戦績は25戦14勝（6KO）10敗1分けでした。

ワルインゲの息子であるトム・ワルインゲも元プロボクサーです。また、笑福亭鶴瓶は20代前半の頃、テレビ番組でワルインゲ中山とボクシングをしたことがあるそうです。2021年には、東京でタクシーに乗った際、運転手がトム・ワルインゲだったというエピソードも残っています。

ワルインゲ中山は、ケニアのボクシング界に大きな足跡を残し、日本でも多くのファンに愛されたボクサーでした。

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