ワルシャワ条約 (1955年)

ワルシャワ条約

ワルシャワ条約（英: Warsaw Pact、露: Варшавский договор）は、1955年にポーランドの首都ワルシャワにおいて締結された多国間の軍事協定です。この条約の目的は、冷戦時代における東側諸国の集団的自衛を強化することでした。具体的には、北大西洋条約機構（NATO）に対抗するために設立されたもので、これにより、ソビエト連邦を中心とした東欧諸国が一つの軍事的枠組みの中で協力することが促進されました。

条約の正式名称

この条約の正式名称は長く、「アルバニア人民共和国、ブルガリア人民共和国、ハンガリー人民共和国、ドイツ民主共和国、ポーランド人民共和国、ルーマニア人民共和国、ソヴィエト社会主義共和国連邦及びチェコスロバキア共和国間の友好、協力及び相互援助条約」となります。この正式名称には、8カ国の名称が含まれており、条約の10条目にはロシア語、ポーランド語、チェコ語、ドイツ語という4つの言語で本文が書かれていることが特徴です。

署名と発効

ワルシャワ条約は1955年5月14日に署名され、同年6月6日に発効しました。この条約が結ばれた背景には、アメリカ合衆国とソビエト連邦の冷戦が激化したことが挙げられます。特に西ドイツが北大西洋条約に加盟したことが、東側諸国の結束を促す要因となりました。

加盟国と変遷

オリジナルの加盟国は、アルバニア、ブルガリア、ハンガリー、東ドイツ（ドイツ民主共和国）、ポーランド、ルーマニア、ソビエト連邦、チェコスロバキアの8カ国です。1956年には東ドイツが正式に加盟し、1968年にはアルバニアが脱退することとなりました。

1985年4月26日には、条約の効力を延長するための議定書がワルシャワで締結されました。この際、ソ連は20年の延長を主張したのに対し、ルーマニアは約5年の延長を主張するなど、各国の意見にはばらつきがありました。最終的に議定書では、延長期間は20年となり、その後も条約を維持する国には自動的に10年が追加される仕組みが採用されました。

条約の終了

しかし、1991年7月1日にチェコスロバキアのプラハで効力停止に関する議定書が締結されると、ワルシャワ条約は事実上の効力を失いました。これによって、冷戦時代の象徴的な組織としての役割を終えることとなりました。

影響と記憶

ワルシャワ条約は、冷戦時代の軍事的緊張や国際関係において重要な役割を果たしました。その後の東欧諸国の政治的変遷や冷戦の終結における影響については、今なお多くの研究が行われています。この条約の設立と廃止は、冷戦の枠組みにおける複雑な力関係を浮き彫りにしており、歴史的な教訓としても重要です。

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