ワルソー条約

概要

ワルソー条約は、国際航空輸送に関する法律の枠組みを提供する国際的な条約です。正式名称は「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」です。1953年に日本もこの条約を批准しています。条約名の「ワルソー」は、ポーランドの首都に由来しています。

この条約は、出発地と到着地の両方が条約締結国である場合に適用され、国内の航空運送には関与しません。責任の取り決めにおいては過失推定主義が採用されており、損害賠償責任の限界も示されています。特に第28条では、責任に関する訴訟をどのように提起するかが定められています。原告は、運送人の住所地や主たる営業所、契約締結地の裁判所、または到達地で訴訟を提起することが可能です。

課題

しかし、ワルソー条約にはいくつかの課題があります。特に、航空運送人による損害賠償額の制限が非常に低いことが問題視されています。具体的には、旅客が死亡した場合の賠償額は、署名当時から変化のない12万5千金フラン（約140万円）とされています。この額は、ヘーグ議定書により25万金フラン（約280万円）に改定されましたが、依然としてインフレーションに対応できていないと批判されています。

貨物においても、損害賠償の上限は1キログラム当たり250金フランと低く設定されています。この数値も、運送人が故意または法律的な欠陥がある場合には上限が適用されないため、賠償額を巡る争いが多発しています。これにより、航空業界での法的トラブルが生じており、温故知新な法改正が求められる背景となっています。

これらの問題を解決するために、2003年にモントリオール条約が策定され、発効されました。この条約は、ワルソー条約よりも柔軟で、より高い賠償限度額を定めています。しかしながら、ワルソー条約の当事国の中には、モントリオール条約に加入していない国も存在します。このため、該当国を起点または終点とする運送には、ワルソー条約が適用されているケースが続いています。

まとめ

ワルソー条約は、国際航空運送の運営において重要な役割を果たし続けていますが、長期的な課題や実務上の問題が残されています。これらの課題に対しては、新たな条約の採用や改正が求められ、航空業界全体の利益を守る必要があります。

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