ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー

ダニエル・ロパティン（Daniel Lopatin、1982年7月25日 - ）は、Oneohtrix Point Never（ワントリックス・ポイント・ネヴァー）の名義で活動する、アメリカ合衆国ニューヨーク・ブルックリンを拠点とする電子音楽家、音楽プロデューサー、そして映画音楽家です。通称はOPN。

彼の音楽は、ノイズ、アンビエント、ドローンといった実験的な要素を特徴とし、その独創的なサウンドで高い評価を得ています。単なる電子音楽の枠に収まらず、多様なジャンルを横断する彼の音楽性は、多くのリスナーや批評家を魅了し続けています。

多岐にわたる活動

OPNは、自身の音楽制作にとどまらず、映画音楽家としても才能を発揮しています。代表作としては、『グッド・タイム』（2017年）や『アンカット・ダイヤモンド』（2019年）などが挙げられます。これらの作品では、映画の持つ独特な世界観を音楽で表現し、作品全体の魅力を高めることに大きく貢献しました。

また、音楽プロデューサーとして、アノーニやザ・ウィークエンドといった著名なアーティストに楽曲提供も行っています。彼のプロデュース作品は、各アーティストの個性を引き出しつつ、OPNならではの実験的なサウンドが融合された、革新的なものとなっています。

さらに、OPNは美術館でのマルチメディア作品展示も多数手がけており、視覚的な要素と音楽を組み合わせた、没入感のある空間を作り出しています。彼の作品は、音楽という枠を超え、アートの世界でも高く評価されています。

来歴

OPNの実験的な音楽は、批評家から一貫して高い評価を受けており、数々のアルバムが年間ベストアルバムに選出されています。例えば、2010年リリースの『Returnal』は、ピッチフォーク・メディアの年間ベストアルバムランキングで20位にランクインしました。その後も、『Replica』（2011年）が17位、『R Plus Seven』（2013年）が24位、『Garden of Delete』（2015年）が11位に選出されるなど、その評価は揺るぎないものとなっています。

FKAツイッグスをはじめとする多くのアーティストとのコラボレーションも積極的に行っており、常に新しい音楽の可能性を追求しています。また、彼が音楽制作を手がけた映画『Good Time』は、2017年のカンヌ映画祭で最優秀サウンドトラック賞を受賞するなど、その才能は多岐にわたり開花しています。

ディスコグラフィ

スタジオアルバム

Betrayed in the Octagon（2007年、Deception Island）
Zones Without People（2009年、Arbor）
Russian Mind（2009年、No Fun）
Returnal（2010年、Editions Mego）
Replica（2011年、Software）
R Plus Seven（2013年、Warp）
Garden of Delete（2015年、Warp）
Age Of（2018年、Warp）
Magic Oneohtrix Point Never（2020年、Warp）
Again（2023年、Warp）

コンピレーション

Rifts（2009年、No Fun）
Drawn and Quartered（2013年、Software）
The Fall Into Time（2013年、Software）

サウンドトラック

Good Time Original Motion Picture Soundtrack（2017年、Warp）
Uncut Gems（2019年、Warp）

フィルモグラフィ

ブリングリング The Bling Ring（2013年）
グッド・タイム Good Time（2017年）
アンカット・ダイヤモンド Uncut Gems（2019年）

参考文献

佐藤秀彦著、New Masterpiece編『新蒸気波要点ガイド ヴェイパーウェイヴ・アーカイブス2009-2019』DU BOOKS、2019年 ISBN 978-4-86647-086-3

外部リンク

公式サイト（英語）

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