ワンス・アポン・ア・タイム (シンプル・マインズのアルバム)

『ワンス・アポン・ア・タイム』は、スコットランド出身のロックバンド、シンプル・マインズが1985年10月21日にリリースした7枚目のスタジオ・アルバムです。このアルバムは、彼らのキャリアにおいて重要なターニングポイントとなり、世界的な成功を収めるきっかけとなりました。

世界的ヒットの背景

1985年、シンプル・マインズはシングル「Don't You (Forget About Me)」をリリース。この曲は、映画『ブレックファスト・クラブ』の主題歌として起用され、ヨーロッパ各国でトップ10入り、アメリカのビルボードチャートでは1位を獲得するなど、世界的な大ヒットとなりました。アメリカでの成功は、バンドにとって大きな足がかりとなり、新たなファン層を獲得する原動力となりました。

しかし、この成功の裏で、バンドはメンバーの変動という課題に直面します。長年ベーシストを務めていたデレク・フォーブスが脱退し、新たにジョン・ギブリンが加入しました。

アルバム制作

アルバムのレコーディングは、1985年5月にロンドンのタウンハウス・スタジオで行われました。プロデューサーには、U2やブルース・スプリングスティーンなどの作品で知られるジミー・アイオヴィーンと、ブライアン・アダムスなどを手掛けたボブ・クリアマウンテンという、豪華な顔ぶれが迎えられました。彼らの手腕により、アルバムは前作同様、壮大で力強いスタジアム・ロック路線を継承しつつ、より洗練されたサウンドに仕上がりました。

音楽的な特徴

『ワンス・アポン・ア・タイム』は、シンプル・マインズの音楽的な特徴である、壮大なスケール感と力強いメロディが際立つ作品です。ジム・カーの力強いボーカル、チャーリー・バーチルのエッジの効いたギター、マイケル・マクニールのシンセサイザーが織りなすサウンドは、聴く者を圧倒します。また、ジョン・ギブリンの加入により、ベースラインがよりダイナミックになり、楽曲に深みを与えています。

リリースと評価

アルバムは、リリースされると同時に世界中で大ヒットを記録しました。全英アルバムチャートでは1位を獲得し、全米アルバムチャートでも10位にランクイン。シンプル・マインズにとって、アルバムで初のビルボードトップ10入りとなりました。1996年にはイギリスでトリプルプラチナ、1986年にはカナダでダブルプラチナを獲得するなど、セールス面でも大きな成功を収めました。

音楽メディアからの評価も高く、オールミュージックは「彼らのベストの内の一つ」とコメントし、生々しいサウンドプロダクションを賞賛しました。

収録曲

アルバムには、「Once Upon a Time」、「All the Things She Said」、「Ghost Dancing」、「Alive and Kicking」、「Oh Jungleland」、「I Wish You Were Here」、「Sanctify Yourself」、「Come a Long Way」といった楽曲が収録されています。これらの楽曲は、いずれもシンプル・マインズの代表曲として知られており、現在でもライブで演奏されることが多いです。

まとめ

『ワンス・アポン・ア・タイム』は、シンプル・マインズのキャリアにおける最高傑作の一つであり、1980年代の音楽シーンを代表するアルバムとして、今もなお多くの人々に愛されています。彼らの音楽を聴いたことがないという方は、ぜひこの機会に聴いてみてください。

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