ワンチャイコネクション

ワンチャイコネクション

『ワンチャイコネクション』(Wan Chai Connection)は、1994年11月22日に株式会社セガから発売された、セガサターン用ソフトウェアです。香港を舞台にしたコマンド選択式アドベンチャーゲームであり、その通称は「ワンコネ」として知られています。本作は、セガサターン本体と同時にリリースされたローンチタイトルの一つであり、ゲーム業界における次世代機の幕開けを飾る作品として登場しました。ゲームの開発はマイクロネットが担当しています。

ゲームの特徴

本作の最大の特徴として挙げられるのは、ゲームのグラフィック表現に実写映像を大胆に取り入れている点です。背景グラフィックの多くに実際の香港の風景写真などが使用されているほか、ゲームに登場する主要なキャラクターは俳優が演じており、その演技映像がゲーム内に組み込まれています。これにより、当時のゲームとしては非常に高い臨場感と没入感を実現しようとしています。

また、著名な脚本家であるジェームス三木氏が原作・脚本を手がけていることも、本作の大きな魅力の一つです。俳優による演技とジェームス三木氏によるシナリオが組み合わさることで、まるでドラマや映画を見ているかのような感覚で物語を進めることができます。

ゲームシステム

プレイヤーは、俳優・布川敏和氏が演じる主人公「マイケル・リー」、香港警察の敏腕刑事となって物語を進めます。ゲームの基本的な進行は、画面に表示されるコマンドを選択していくことで行われるコマンド選択式アドベンチャーの形式です。

物語は複数の章で構成されており、章と章の間にはストーリーの核心に迫る重要な実写動画シーンが挿入されます。これにより、プレイヤーは物語の全体像やキャラクターの心情をより深く理解することができます。

事件現場や関係者の部屋などを捜査する際には、「3Dバーチャル捜査画面」が用いられます。この画面では、以下の四つの基本コマンドを駆使して証拠品や情報を集めます。

移動: 現在いる場所から他の場所へ移動する際に使用します。
開ける: 扉や引き出し、箱など、開けることができるオブジェクトに使うコマンドです。
調査: 本棚の本、机の上の物、壁の絵など、詳細に調べたいオブジェクトに対して使用します。
証拠品: 捜査中に発見し押収した証拠品リストを確認する際に使用します。

ストーリー概要

物語の舞台は、1997年の中国返還を数年後に控えた、熱気と陰謀が渦巻く香港です。物語は、日中多くの観光客で賑わうテーマパーク「オーシャンパーク」で発生した凄惨な事件から幕を開けます。麻袋に詰められ、全裸で発見された一人の女性。これは殺人未遂事件として、香港警察きっての切れ者刑事であるマイケル・リーの担当となります。

幸いにも女性は一命を取り留めますが、事件のショックにより一切の記憶を失っていました。担当医であるハワード伍から「麗燕（ライ・イン）」と名付けられた彼女は、過去を取り戻すため、そして事件の真相を知るために、マイケルと共に捜査を進めることになります。記憶の断片を追う旅は、香港社会の光と影、そして複雑に絡み合った人間関係の中に隠された、より大きな陰謀へと二を人巻き込んでいきます。様々な思惑が交錯する中で、マイケルと麗燕は事件の真相にたどり着けるのでしょうか。

主な登場人物

物語を彩る登場人物には、俳優陣が起用されています。

マイケル・リー: 演：布川敏和。香港警察の敏腕刑事であり、本作の主人公。事件の真相を追う。
麗燕（ライ・イン）: 演：杉本彩。オーシャンパーク事件の被害者。記憶喪失だが、多言語を操る知的な一面を持つ。
パトリシア・陳: 演：古田さとみ。物語の鍵となる麻雀荘「カブト」の美人ママ。
その他にも、事件に関わる企業の要人、街の住人、警察関係者など、個性豊かなキャラクターたちが登場し、物語に深みを与えています。

評価と影響

本作に対する当時の評価は一様ではありませんでした。ゲーム雑誌『ファミ通』のクロスレビューでは、40点満点中22点という評価に留まりました。しかし、『SATURN FAN』誌の読者投票企画「ゲーム通信簿」では、30点満点中18.7点という評価を得ています。

後年の視点からは、本作はセガサターンというプラットフォームの初期を代表するタイトルとして語られることがあります。フリーライターの御簾納直彦氏は、一般的な評価は芳しくないとしつつも、セガサターン史において重要な位置を占める作品だと指摘しています。特に、実写取り込みによるキャラクターの長いセリフ回しは、当時のゲームとしては画期的であり、強い印象を与えたと述べています。

実写を取り入れたゲームは、当時としてはまだ実験的な試みであり、後のゲーム制作に影響を与えた側面も持つ作品と言えるでしょう。

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