ワン・フロム・ザ・ハート

『ワン・フロム・ザ・ハート』

『ワン・フロム・ザ・ハート』は、1982年にフランシス・フォード・コッポラによって監督されたアメリカの恋愛映画です。この作品は、全編がコッポラの所有するスタジオ「ゾーイトロープ・ロス・スタジオ」で制作され、ラスベガスを背景に新たな恋に奔走するカップルの物語を描いています。

主演キャスト

本作の主演には、アメリカ映画界で高く評価されるフレデリック・フォレストとテリー・ガーが名を連ねています。フォレストは映画『地獄の黙示録』や『ローズ』で知名度を上げた人物であり、彼の演技力が本作でも光っています。一方のテリー・ガーも、映画『ヤング・フランケンシュタイン』や『未知との遭遇』などで知られる才能です。また、レベッカ・デモーネイが本作で映画デビューを果たし、注目の若手女優としての第一歩を踏み出しました。

制作の背景

映画は、持ち歌や恋愛の難しさ、若者の心情を描くことに挑戦しており、その中でコッポラ監督は特に気を使ったのが撮影環境でした。『地獄の黙示録』の制作時には、ハリケーンでセットが破壊される事態が発生し、その経験から、すべてをコントロールできる室内で撮影を行いたいと考えるようになったと言われています。その結果、巨大な飛行機セットを含む多くのセットが設けられ、映画に独自の視覚的魅力を与えました。

音楽と評価

音楽はシンガーソングライターのトム・ウェイツが担当し、彼の楽曲は物語の雰囲気を一層引き立てています。特に、男女間の感情を音楽で表現する試みが評価され、女性カントリー歌手クリスタル・ゲイルもサウンドトラックに参加しました。
サウンドトラックはアカデミー編曲・歌曲賞にノミネートされるなど、音楽面での評価が高まりました。

あらすじ

物語は、ラスベガスで同棲中のカップル、ハンクとフラニーの喧嘩から始まります。独立記念日の前日、二人は激しい口論を繰り広げ、その結果、それぞれが新たな恋に向かう道を選ぶことになります。この展開を通して、恋愛の難しさや人間関係の脆さを描いているのが本作の特徴です。

公開と評価

日本での公開は1982年8月で、字幕は著名な翻訳者戸田奈津子が担当しました。アメリカでの評価は批判的なものでしたが、イギリスやフランスでは相対的に好意的な反応も見られました。特に、イギリスの音楽雑誌NMEでは「この映画を嫌う者は冷たい心の持ち主」との好意的なレビューも存在します。

その他の情報

映画の制作現場は、モンテ・ヘルマンやジャン＝リュック・ゴダールによって撮影され、ヘルマンのフィルムは雑誌のおまけとして短編ドキュメンタリーとして発表されました。
本作は、コッポラの独自のビジョンと高いスタジオ規模を反映した作品であり、観る者に強い印象を残します。

本作は、恋愛映画の枠を超えた芸術作品として、その魅力を楽しむ価値があると言えるでしょう。

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