ワン・モア・ライト

リンキン・パーク『ワン・モア・ライト』

『ワン・モア・ライト』（One More Light）は、アメリカのロックバンド、リンキン・パークが2017年に発表した7枚目のスタジオ・アルバムです。このアルバムは、リードボーカルのチェスター・ベニントンが生前に参加した最後の作品としても知られています。

概要

本作は、リンキン・パークがこれまでのオルタナティブ・ロックやニュー・メタルのサウンドから大きく方向転換し、よりポップなメロディを追求した作品です。楽曲制作には、様々なゲストボーカルやアーティストが参加し、彩りを添えています。中でも、タイトル・トラックである「One More Light」は、アルバム全体のテーマを象徴する重要な曲と位置付けられています。

アルバムは、全米アルバムチャート（Billboard 200）で初登場1位を獲得し、リンキン・パークにとって5作目の全米1位獲得作品となりました。しかし、音楽評論家からの評価は賛否が分かれ、商業的な成功とは対照的に、その音楽性に対する評価は一様ではありませんでした。

制作背景

従来のサウンドからの転換を目指したリンキン・パークは、本作の制作において、まず先にボーカルを録音するという新しい試みに挑戦しました。これは、従来の楽曲を先に録音するという制作手順とは大きく異なるアプローチです。

また、多くのミュージシャンとの共同制作を積極的に行い、1stシングル「Heavy」では、バンド初の女性ゲストとしてシンガーのキアーラを迎えています。チェスターは、ア・パーフェクト・サークルのギタリスト、ビリー・ハワーデルにもコラボレーションを依頼しましたが、残念ながら未完成に終わったトラックも存在します。

マイク・シノダは、アルバムの曲構成について「ヘヴィなギターをあまり聴かせず、シャウトも無しにした」と語り、アルバム全体のコンセプトとして、サウンドとジャンルの境界線を曖昧にすることを目指したと説明しています。また、ブラッド・デルソンは、「Sharp Edges」でアコースティックな要素を取り入れたり、「Invisible」でギターサウンドを多重に重ねたりするなど、新しい試みに挑戦したと語っています。

アルバムジャケットには、バンドメンバーの友人の子供たちの写真が使用されています。この写真は、デフトーンズやグリーン・デイなどのアートワークを手がけたフランク・マドックスがベニスビーチで撮影したものです。

批評

『ワン・モア・ライト』は、音楽評論家からは賛否両論の評価を受けました。否定的な意見としては、従来のロックサウンドからの大きな変化に対する戸惑いや、ポップな音楽性への傾倒に対する批判などが挙げられます。しかし、一方で、過去のサウンドを捨ててまで新しいスタイルに挑戦したこと、ポップトレンドを吸収し、自分たちの音楽に反映させる姿勢を評価する声もありました。

チェスター・ベニントンは、本作に対する否定的な評価に強い怒りを表明し、音楽誌を通じて感情的なコメントを発表しています。スリップノットのコリィ・テイラーは、チェスターのフラストレーションに理解を示しつつアドバイスを送ったところ、チェスターがこれに反応し、両者のやり取りが注目を集めました。

収録曲

1. Nobody Can Save Me (3:45)
2. Good Goodbye (3:31)
ラッパーのストームジー、プシャ・Tが参加。
3. Talking to Myself (3:51) - 2ndシングル
4. Battle Symphony (3:36)
5. Invisible (3:34)
6. Heavy (2:49) - 1stシングル
キアーラとのコラボ曲。
7. Sorry for Now (3:23)
8. Halfway Right (3:37)
9. One More Light (4:15) - 3rdシングル
10. Sharp Edges (2:58)

もう一度検索