ワープ

ワープ

ワープ（[英語]]: warp）は、[[サイエンス・フィクション]作品で用いられる、短時間で遠距離を移動する技術の名称です。ここでは、SF作品におけるワープについて解説します。

概要

深宇宙を舞台とするSF作品において、恒星間の移動手段は重要な要素です。現実の宇宙は広大であり、最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリへの旅でさえ数年を要します。そのため、物語を成立させるために「ワープ」という架空の技術が設定されました。これにより、「短時間で遠い星へ行く」という仮定のもとで物語が展開されます。人気SF作品では、ワープに厳密な設定が追加され、物語の基軸となることもあります。

発音

英語の発音は「ウォープ」に近いですが、日本では初期のSFで「ワープ」と表記され、『スタートレック』の吹き替えでも「ワープ」が使用されたため、一般的に「ワープ」として定着しました。

ワープの方式の違い

SF作品に登場するワープの方式は多岐にわたります。大別すると、以下の2種類に分類されます。

1. 超空間通過型: 超空間などを通過することで、離れた2点間を短時間で移動します。
2. 超光速直進型: 光速を超えたスピードで直線移動することで、離れた場所に短時間で移動します。

作品によっては、これらの方式を区別せずに「ワープ」と呼ぶこともあります。

ワープの登場と認知

英語圏

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ワープの概念が登場し始めました。

1880年: チャールズ・ハワード・ヒントンの論文で、空間の概念が語られました。
1915年: エドワード・E・スミスの小説で、超光速航行を可能にする技術が描かれました。
1934年: ジャック・ウィリアムスンの小説で、「ワープ」という言葉が登場しました。
1966年: テレビ[[ドラマ]]『スタートレック』で「ワープ」という言葉が広く知られるようになりました。

日本

20世紀前半から、海外SF小説の翻訳を通じてワープの概念が流入しました。

1968年: 藤子不二雄の漫画『21エモン』で「ワープ航法」という用語が登場しました。
1969年: テレビ[[ドラマ]]『スタートレック』が日本で放送され、「ワープ」という用語が一般家庭に浸透しました。
1974年: テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』のヒットにより、「ワープ」の認知度がさらに高まりました。

物理理論

力学や相対性理論において、負の質量や複素数の速度を仮定することで、数式上は光速を超えることが可能です。しかし、「負の質量」や「複素数の速度」を持った物質の存在は確認されていません。

アルクビエレ・ドライブ

負の質量を利用したアインシュタイン方程式の解として、アルクビエレ・ドライブが提唱されています。これは、宇宙船の進行方向後ろに小規模なビッグバンを生成し、前方には小規模なビッグクランチを生じさせることで推進力を得るというものです。

フィクションにおけるワープの分類

時空間歪曲型

宇宙空間を歪ませることで、離れた場所へ移動する方式です。紙の上の2点を曲げてくっつける例えで説明されます。

超光速直進型

宇宙空間を光速以上の速度で直線移動する方式です。『スタートレック』シリーズで用いられています。

並行宇宙型

一時的に時空の異なる別の並行宇宙へ移動し、また元の宇宙空間へ戻る方式です。

ワームホール型

宇宙空間に存在するワームホールを利用して、離れた場所に一瞬で移動する方式です。

『スタートレック』でのワープ

亜空間推進型

『スタートレック』シリーズで一般的に用いられるワープドライブは、亜空間を利用して光速以上の速度で直線移動する方式です。宇宙船は亜空間フィールドに包まれ、進行方向に空間を収縮させ、後方に空間を膨張させることで推進力を得ます。

24世紀以降の作品における設定

24世紀を舞台とする作品では、ワープ係数によって速度が定義されています。ワープ係数が大きいほど速度が速くなりますが、ワープ10は不可能領域とされています。

23世紀までの作品における設定

23世紀を舞台とする作品では、ワープ係数の3乗で速度が増加するシンプルな設定となっています。

トランスワープ

『スタートレック』では、亜空間推進型ワープ以上のスピードで宇宙空間を移動する技術を「トランスワープ」と呼びます。ボーグ集合体がトランスワープを恒常的に利用しています。

並行宇宙型

『スタートレック：ディスカバリー』では、マイセリウム胞子転移ドライブという実験的なトランスワープ技術が登場します。

ワームホール型

『スタートレック』シリーズには、ワームホールを利用した移動方法も登場します。『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』では、安定したワームホールが物語の重要な要素となっています。

関連作品

宇宙大作戦、スタートレック（ワープ）
スター・ウォーズシリーズ（ハイパードライブ）
宇宙戦艦ヤマト（ワープ航法）
宇宙の騎士テッカマン（リープ航法）
太陽の牙ダグラム（ワームホール航法）
伝説巨神イデオン（亜空間飛行/DS（デス）ドライブ）
トップをねらえ!（次元波動超弦励起縮退半径跳躍重力波超光速航法）
To LOVEる -とらぶる-（ぴょんぴょんワープくん）
マクロスシリーズ（フォールド航法）
天地無用!（BJ航法）
機動戦艦ナデシコ（ボソンジャンプ）
クラッシャージョウ（ワープ航法、小説版にはワームホールの概念も登場する）
コスモス・エンド（パルスワープ）
ロスト・ユニバース（フェイズ・ドライブ）
スカーレット・ウィザード（門、ショウ機関）
勇者王ガオガイガー（ESウインドウ、ギャレオリア彗星）
真ゲッターロボ 世界最後の日（ゲッター線を収束させることによるワームホール）
機甲界ガリアン（跳空間転移基「鉄の塔」による「ハイジャンプ」）
ミニスカ宇宙海賊（超光速跳躍）
ドラえもんの『のび太の宇宙開拓史』
銀河英雄伝説（ワープ航法、小説では跳躍航法に「ワープ」のルビを振っている表記もある）
無責任艦長タイラー（超光速航法/ハイパー・コクーン）
星方武侠アウトロースター（サブイーサドライブ）
カウボーイビバップ（位相差空間ゲート）
星界の紋章/星界の戦旗（平面宇宙航法）
ギャラクシーエンジェル（クロノ・ドライヴ）
スターシップ・オペレーターズ（コヒーレント重力波駆動）
シドニアの騎士（亜光速航行）

関連項目

超光速航法
ハイパースペース
瞬間移動
光速
次元
四次元
24時間テレビ
* サイエンス・フィクション

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