ヴァイオリンソナタ (リヒャルト・シュトラウス)

リヒャルト・シュトラウスの「ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 作品18」は、1887年から1888年にかけて作曲された、彼の唯一のヴァイオリンソナタです。

この作品は、シュトラウスが古典派的な絶対音楽から、より自由な表現を追求した交響詩やオペラへと移行する時期に書かれました。そのため、楽曲は伝統的な3楽章形式を踏襲していますが、随所にシュトラウスならではの個性的な表現が散りばめられています。

シュトラウス自身もヴァイオリンを巧みに演奏できたことから、このソナタはヴァイオリンの華麗な演奏効果を最大限に引き出すように書かれており、演奏には高度な技術が要求されます。この作品以降、シュトラウスは古典的な形式による室内楽の作曲から離れていきました。

初演は1888年10月3日にエルバーフェルトで行われ、ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団のコンサートマスターであったロベルト・ヘックマンのヴァイオリンと、同地で指揮者を務めていたユリウス・ブーツのピアノによって演奏されました。楽譜は同年ミュンヘンで出版されています。

「ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 作品18」は、ヴァイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツが愛奏したことでも広く知られています。彼は1972年に行った最後のリサイタルでもこの曲を演奏しました。

楽曲は以下の3つの楽章で構成されています。

第1楽章: Allegro ma non troppo、変ホ長調、4分の4拍子、ソナタ形式。
第2楽章: 即興曲（Improvisation）、アンダンテ・カンタービレ、変イ長調、4分の2拍子、三部形式。
第3楽章: 終曲、Andante ― Allegro、変ホ長調、ロンド形式。

このソナタは、シュトラウスの初期の作風を知る上で重要な作品であり、ヴァイオリン音楽のレパートリーとしても高く評価されています。

参考文献：
作曲家別名曲解説ライブラリー9　R.シュトラウス（音楽之友社）

外部リンク：
* ヴァイオリン・ソナタ 作品18の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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