ヴァイオリンソナタ第2番 (シューマン)

ヴァイオリンソナタ第2番 ニ短調 作品121

ロベルト・シューマンが作曲したヴァイオリンとピアノのためのソナタの2曲目にあたる作品です。緊密な構成と表現の深さが特徴で、シューマンの室内楽曲の中でも特に重要な位置を占めています。

作曲経緯と初演

このソナタは、先行する第1番のヴァイオリンソナタが完成してからおよそ40日後の1851年10月26日に作曲が始められました。シューマンは、第1番の出来栄えに完全には満足していなかったと伝えられており、そのためこの第2番では、ヴァイオリンとピアノという2つの楽器間のバランスに特に気を配り、全体の構成や音楽的な統一性を高めることに意欲を燃やして作曲に臨みました。その創作意欲は凄まじく、わずか1週間ほどで、11月2日頃には全曲が書き上げられています。

完成直後の1851年11月15日には、デュッセルドルフで関係者向けに非公開で初演されました。この時の演奏は、地元のオーケストラのコンサートマスターを務めていたヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヴァジエレフスキがヴァイオリンを担当し、作曲家の妻であるクララ・シューマンがピアノを弾きました。

より広く一般に披露された初演は、約2年後の1853年10月29日に、同じくデュッセルドルフのキュルテン劇場にて行われました。この歴史的な演奏では、ピアノをクララ・シューマンが務め、ヴァイオリンを若き巨匠ヨーゼフ・ヨアヒムが担当しました。ヨアヒムはこの作品を深く愛し、「感情の驚くべき統一性と主題の意義から、同時代の最も優れた作品の一つと考える」と手放しで賞賛の言葉を贈っています。このソナタは、シューマンにこのジャンルの作曲を勧め、また彼に大きな影響を与えたヴァイオリニスト、フェルディナンド・ダヴィッドに献呈されました。

楽曲構成

全4楽章で構成され、演奏時間は約30分です。

第1楽章：かなりゆっくりと、短くかつエネルギッシュに-生き生きと（Un poco lento–Animato）

ニ短調。序奏部は4分の3拍子で、「エネルギッシュ」な和音の連打によって力強く開始されます。最初の2小節に現れる4つの和音の最上声部（レ-ラ-ファ-レ）は、献呈相手であるフェルディナンド・ダヴィッド（DAFD）の名に基づく音型として知られています。続く主部は4分の4拍子となり、ソナタ形式で展開されます。

第2楽章：きわめて生き生きと（Molto animato）

ロ短調、8分の6拍子。ロンド形式で書かれており、いわゆるスケルツォ楽章にあたります。ピアノで始まるリズミカルな主題が中心となり、その間に柔らかな歌のような性質を持つ2つのトリオが挟まれる構成です。

第3楽章：静かに、素朴に（Dolce semplice）

ト長調、8分の3拍子。変奏曲形式による緩徐楽章です。ここでは、コラール風の美しい主題が、ヴァイオリンのピッツィカート（弦を指で弾く奏法）によるソロで提示されます。この主題のコラールは、『深き淵より』、または資料によっては『讃美を受けたまえ、主イエス・キリストよ』に基づくとされています。主題に続いて、4つの異なる表情を持つ変奏が繰り広げられます。

第4楽章：活発に、動きをもって（Animato）

ニ短調、4分の4拍子。再びソナタ形式が採用されています。第1主題はスピード感にあふれ、細やかな動きが特徴的で、ヴァイオリンとピアノが対話するように進行します。途中、より落ち着いた雰囲気の第2主題が現れた後、再び第1主題が戻ってきます。展開部を経て再現部が続き、最後はニ長調に転じて明るく力強いコーダで締めくくられます。

このソナタは、シューマン円熟期の傑作として、現在でも多くのヴァイオリニストとピアニストによって演奏されています。

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