ヴァグラムの戦い

ヴァグラムの戦い

ヴァグラムの戦い（英：Battle of Wagram、仏：Bataille de Wagram）は、1809年7月5日から7月6日にかけて、ナポレオン戦争の一環として行われた重要な戦闘である。この戦いは、ウィーンの北東約15キロメートルに位置するドナウ川北岸の町ヴァグラム付近で、ナポレオン1世が指揮するフランス軍とカール大公率いるオーストリア軍が激突した。戦闘の結果、フランスは勝利を収め、オーストリアは屈服を余儀なくされた。

背景

この戦闘の背景には、1809年4月にオーストリアが新たに大同盟を結びフランスに対して宣戦布告を行ったことがある。ナポレオンは迅速に反撃をし、エックミュールの戦いでオーストリアの主力部隊を打ち破り、彼らの首都ウィーンへと侵攻した。しかし、オーストリアの軍はドナウ川の北岸へと退却し、ナポレオンは再び決戦を挑むことになる。すぐに両軍ともに大規模な軍が集結し、フランス軍は18万人、オーストリア軍は15万人となり、戦闘の準備は整った。

戦闘の経過

戦闘の前日、1809年7月4日、ナポレオンはフランス軍をロバウ島に集結させ、密かに渡河作戦を開始した。彼の兵士たちは、豪雨の夜を利用して迅速にドナウ川を渡ることに成功し、一部は対岸に架橋することに成功した。しかし、指揮官の指示ミスで一時的な混乱が生じたため、オーストリア軍は驚くべき速度で進攻したフランス軍に完全に不意を突かれる。

7月5日、フランス軍はアスペルンからエスリンク地域を制圧し、軍の渡河を完了した。その後、フランス軍は優れた陣形を形成し、戦闘に備えたが、早期の攻撃に関しては多くの小規模な試みがあり、成功には至らなかった。

7月6日早朝に戦闘が再開されると、オーストリア軍は初期の優位を保ちながら攻撃を展開。しかし、各軍団の連携が悪化し、フランス軍も急遽増援を送り、連携を強化した。ナポレオンはその隙を突き、オーストリア軍の中央部への攻撃を命じ、フランス軍は激烈な突撃を実行。オーストリア軍は数で押され、最終的に中央部が突破された。

午後4時、オーストリア軍の増援部隊が到着した時にはすでに手遅れであった。オーストリア軍は死傷者約4万人という重傷を受け、戦闘能力を喪失した。フランス軍も約3万2500人が死傷し、7000人以上が捕虜となったが、戦局は確実にフランスに向いていた。

戦後の影響

ヴァグラムの戦いの後、オーストリアは7月10日に停戦を申し入れ、12日に停戦協定が成立した。それ以降、フランス側では戦功が認められた指揮官たちが次々と昇進し、ナポレオンの軍はさらなる発展を遂げることとなった。最終的に10月14日、オーストリアはシェーンブルンの和約を結び、広大な領土をフランスおよびバイエルンに譲渡することになった。

この戦いはまた、オーストリア軍の姿勢の変化を示すものでもあった。従来の傭兵制度から脱却し、国民軍としての意識を高めていく過程が始まった。ただし、オーストリアがライプツィヒでの勝利を収めるまでには、さらなる時間を要することとなった。

結果として、ヴァグラムの戦いはナポレオンの帝国の絶頂期を迎える重要な転換点となった。

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